研究課題/領域番号 |
22K07649
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
高橋 賢一朗 日本医科大学, 大学院医学研究科, 研究生 (10614737)
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研究分担者 |
関根 鉄朗 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00747826)
嶺 貴彦 日本医科大学, 医学部, 講師 (00631293)
横山 太郎 日本医科大学, 医学部, 助教 (20786272)
坂本 俊一郎 日本医科大学, 医学部, 准教授 (50398872)
藤井 正大 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60297926)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 大動脈解離 / 大動脈瘤 / 乱流の定量評価 / 4D flow MRI / 偽腔内圧の相対圧導出に着手 / ミシガン大学との共同研究 / 50人以上の患者リクルート / 4D flow MRI撮像データの蓄積 / 4D Flow MRI |
研究開始時の研究の概要 |
慢性大動脈解離の遠隔期に半数程度の症例で大動脈拡張を来たすとの報告があるが、この大動脈拡張を事前に予測し得る確立された手法はなく、25%の患者が3-5年で破裂などの合併症で死亡する。申請者グループは大動脈解離患者において、4D Flow MRIによる血流の乱流評価を行い、後期の大動脈拡張を正確に予測出来る事を報告してきた。しかし、撮像/解析手法に汎用性が乏しく、今後の多施設検討や臨床導入には適さない。そこで、2施設での基礎実験と初期臨床検討を行い、どの商用MRI機でも導出可能な汎用性がある乱流定量手法の開発を行う。本研究成果は、今後の海外多施設共同研究内への組み込みや他疾患への応用を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は大動脈解離における偽腔血流の乱流に着目し、4D flow MRIによって大動脈偽腔の乱流の強度を定量評価する手法を考案すること、および定量評価した乱流の強度と臨床的なoutcomeとの相関を検討することを目的としている。研究開始後、共同研究者による患者リクルートにより各研究施設で大動脈解離患者に対して4D flow MRIの撮像を進めてきた。大動脈解離患者は非常に稀であり患者数が限られるため、大動脈内で発生する乱流の流体力学的な定量手法を検討するという観点から、大動脈解離のみならず大動脈瘤の患者もアセスメントの対象と考え、大動脈瘤患者に対しても4D flow MRIを撮像しデータを蓄積している。現在までに十分な症例数の大動脈解離および大動脈瘤患者に対して4D flow MRIを撮像を終えている。大動脈解離および大動脈瘤は患者ごとに多彩な形態を呈するため、1人ずつ全く異なる血流データを伴っていることが現時点までに分かっている。4D flow MRIという先進的なmodalityの使用も限られた施設でしか行えないため、こうして実臨床から得られた血流データが相当数集まったことは大きな意義があると考える。撮像データを解析するためのワークステーションも整備が進められており、随時患者の撮像データについて解析検討を進めている。 また同時に患者の臨床的なoutcomeについても、大動脈瘤径拡大率・手術介入頻度・大動脈関連死亡などの主要outcomeについて収集を進めている。今後、こうして集められた4D flow MRIの撮像データから大動脈内の乱流を可視化し、乱流の程度を適切に定量できる指標について模索し、同時に乱流の指標と臨床的なoutcomeとの相関について統計学的に解析を行って明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画立案時は、大動脈内の乱流を定量評価する手法を考案するにあたり、模擬血管と血流ポンプを組み合わせてファントムモデルを作成し、実験用MRIで撮像して乱流データを収集することを想定していた。研究開始後にファントムモデルに関して見積コストが想定を大きく上回ったため、モデル作成を断念し計画を修正した。臨床研究として患者データを収集する方針に転換し、大動脈解離患者をリクルートし生体内の乱流データを4D flow MRIで撮像する方針とした。大動脈解離はrare diseaseであり、なおかつ研究参加意志をしめす患者は限られるため、患者の撮像データを収集するのに難渋した。大動脈内の乱流データを収集するという観点から、大動脈解離のみならず大動脈瘤患者においても乱流を呈することが知られており、大動脈瘤患者も同様に4D flow MRIを撮像する方針とし、胸部・胸腹部・腹部大動脈瘤患者の4D flow MRI撮像を同時に進めてきた。約2年間かけて現在までに相当数の大動脈解離および大動脈瘤患者の4D flow MRIを撮像することができた。 同時にワークステーションについても整備を進め、現時点で撮像した4D flow MRIを解析する設備が整ったため、随時撮像データを解析し、乱流に関して適切な指標となるparameterを模索している。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまでに蓄積した患者の4D flow MRIデータを基に解析を行うphaseとなる。具体的には大動脈解離の偽腔をsegmentationし、乱流を視覚的に訂正評価する。続いてその乱流の視覚的訂正評価に合致する血流parameterを模索する。順行性血流や逆行性血流の流量、流速、turbulent kinetic energyやenergy lossやwall share stressといった個々のparameterを複数組み合わせて数値化し、それらと乱流の視覚的訂正評価が合致する値を導く。同時に大動脈瘤患者においても同様の解析を行い、大動脈解離の偽腔内と大動脈瘤内で共通した手法で乱流を数値化できるparameterを考案することを目指す。 過去の研究から乱流の視覚的訂正評価は大動脈解離患者の予後と統計学的な相関を示すことが知られており、上記で考案した新たな乱流指標となる数値が予後に相関することを仮定している。そのため患者の予後調査を行い、大動脈瘤径拡大率・大動脈関連死・破裂率・外科的治療介入率などの臨床的なoutcomeを収集する。4D flow MRIから得られた乱流指標を数値化した値・その他種々の血流parameterと臨床的outcomeとの統計学的な相関を検討する。ここまでの解析検討が終了したらこ得られた知見の学会発表や論文掲載を目指す。
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