研究課題/領域番号 |
22K07658
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 千恵次 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (10292012)
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研究分担者 |
渡邊 史郎 北海道大学, 大学病院, 助教 (10802415)
孫田 惠一 北海道大学, 大学病院, 診療放射線技師長 (20636419)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ディープラーニング / PET / コンパートメントモデル解析 / 脳ブドウ糖摂取率 / 脳血流量 / コンパートメントモデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ディープラーニングの手法で、侵襲的な動脈採血を実施しないで、ダイナミックPET画像を定量解析することが可能となり、PET装置の特徴を活かした様々な定量検査が容易になることを目的とする。 これは学術的に有用なダイナミックPET検査を普及させる手段になると考える。PET画像をダイナミック撮像し解析することで、静態画像では得られない病態情報を診断できる場合があり、普及させたいが、動脈採血の煩雑さが普及を阻む原因となっていた。そこで、動脈血中放射能曲線を、採血せずにディープラーニングを用いて推定する方法を考え出した。これは前例のない研究で、学術的独自性と創造性が高い研究と考える。
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研究実績の概要 |
18F-FDGおよび15O-CO2ダイナミック脳PET検査は、コンパートメントモデル解析を行うことで、脳組織のブドウ糖摂取率や脳血流量を定量評価できるが、そのためには、検査時に連続動脈採血を同時に行う必要がある。動脈採血は、侵襲的で被検者に身体的苦痛を与え、さらに採血を実施する医師の被曝が多いという問題点がある。この課題を解決するために、18F-FDGおよび15O-CO2ダイナミック脳PET画像から、ディープラーニング技術を用いて、動脈血放射能曲線を推定するプログラム開発を行った。 18F-FDGダイナミック脳PET画像と同時採取した動脈採血データは、29症例の臨床データを、ディープラーニングのために半数の症例を教師データに用い、残りの半数の症例データを検証用データに用いた。教師データの18F-FDGダイナミック脳PET画像から動脈放射能曲線を推定する訓練を実施した畳み込みニューラルネットワークを作成した。そして、検証用の症例の18F-FDGダイナミック脳PET画像から、採血で得た動脈放射能曲線と統計的な有意差のない動脈放射能曲線を推定することが出来た。 15O-CO2ダイナミック脳PET画像と同時採取した動脈採血データは、30症例の臨床データを、ディープラーニングのために半数の症例を教師データに用い、残りの半数の症例データを検証用データに用いた。教師データの15O-CO2ダイナミック脳PET画像から動脈放射能曲線を推定する訓練を実施した畳み込みニューラルネットワークを作成した。そして、検証用の症例の15O-CO2ダイナミック脳PET画像から、採血で得た動脈放射能曲線と統計的な有意差のない動脈放射能曲線を推定することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
18F-FDGダイナミック脳PET画像から、動脈採血データを使わずに、ディープラーニングで動脈放射能曲線を推定し、その放射能曲線からコンパートメントモデル解析を行って算出された脳ブドウ糖摂取率定量画像が、動脈採血から得られた従来法の脳ブドウ糖摂取率定量画像と非常に良い相関を示す定量画像を推定できる畳み込みニューラルネットワークの開発に成功した。その成果は、2023年4月に、Nuclear Medicine Communicationsに論文を投稿し、現在査読中である。 15O-CO2ダイナミック脳PET画像から、動脈採血データを使わずに、ディープラーニングで動脈血放射能曲線を推定し、その放射能曲線からコンパートメントモデル解析を行って算出された脳血流定量画像が、動脈採血から得られた従来法の脳血流定量画像と非常に良い相関を示す定量画像を推定できる畳み込みニューラルネットワークの開発に成功した。その成果は、2023年4月に、日本放射線技術学会第79回総会学術大会で口演発表を行う。
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今後の研究の推進方策 |
18F-FDGおよび15O-CO2ダイナミック脳PET検査データと、同時採血した動脈血放射能曲線を用いて、コンパートメントモデル解析によって、脳組織のブドウ糖摂取率や脳血流量を定量評価できる。昨年度までは、ダイナミックPET画像データから、まず動脈放射能曲線をディープラーニング技術を用いて推定することを追求したが、今年度からは、より高度なディープラーニング技術を用いることで、コンパートメントモデル解析を行わなくても、より高度な畳み込みニューラルネットワークを用いて、直接、脳ブドウ糖代謝摂取率や脳血流定量画像など、最終的に臨床で要求される画像を推定できると期待する。 そのためのディープラーニングには、時間の次元を考慮した、現在研究しているネットワーク技術よりも高度なニューラルネットワーク、さらに敵対生成ネットワーク(GAN)を利用したディープラーニング技術などを導入して、より精度の高い定量PET画像を推定できるアルゴリズムを開発する予定である。
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