研究課題/領域番号 |
22K07664
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
東口 貴之 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (80452241)
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研究分担者 |
谷 眞至 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60236677)
貝田 佐知子 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70710234)
村上 陽子 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90796145)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 胃癌 / 人工知能(AI) / computed tomography / 血管構造 / 十二指腸 / 自動認識 / 胃 / 3DCT / 人工知能 |
研究開始時の研究の概要 |
近年では医療分野で人工知能(AI)の開発が進められているが、そのほぼ全ては「診断」のためのものであり、「治療」における血管などの解剖学的構造認識は、現在もなお外科医や放射線科医の「読影」によって認識されている。本研究は、全患者に行うCT検査の画像データの中からAIが自動的に「胃」を認識し、これまでの血管再構築画像と「胃」の自動認識画像を融合(fusion)させることで、これまでは削除されていたより細かな血管のデジタル信号を血管として認識し、より詳細な解剖学的情報を提供できる、新しいデジタルアナログ融合システムを構築することを目的とする。
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研究実績の概要 |
滋賀医科大学医学部附属病院では、胃切除の患者は全症例で、術前および術後に周術期外来において高精細CT画像を撮像しており、腎機能やアレルギーに問題なければ造影CTを施行した。既に撮像した腹部単純3DCT検査画像を20症例解析し、これにあらかじめ「胃」や「肝臓」「膵臓」「血管」「リンパ節」といった周囲組織を認識させた。胃の特徴としては食道から十二指腸まで連続してつながる消化管であり、胃の内容物や腫瘍性病変があってもAIが「胃」と認識できるようになるまで繰り返す。胃以外の周囲臓器を誤って胃と認識してしまった場合には、間違いであることを再度認識させる。このようにしてトライアンドエラーを繰り返すうちに、最終的にはAIのみで胃と周囲臓器の境界が認識できるように学習させた。胃の支配血管の学習では、例えば左胃動脈であれば大動脈から始まり腹腔動脈、左胃動脈と分枝して最終的に胃に行き渡る連続した索状物として覚え込ませた。腹腔内臓器を栄養する血管は複雑で細分化されているため、血管構造を自動認識(血管のみを抽出して解剖学的な名称と対応させる)することができれば、術前診断のみならず術中ナビゲーションにつなげることが可能であり、ロボット手術や鏡視下手術時の操作時において先を読んだ手術を実現可能にすると考える。消化器癌の手術は日常的に行われているが、胃や小腸は常に蠕動し消化機能を有する臓器であり、術後にその運動や機能がどのように変化するかを捉えることは不可能であった。しかしながら臓器の形状や配置について膨大な画像データからAIが判断し、細分化することができれば、臓器の体積や残胃からの排出時間、消化機能、蠕動収縮能を非侵襲的に測定し、「動的な」臓器の評価を行うことが可能であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目において胃および周囲血管、臓器(十二指腸、膵臓)の認識を20例程度行い、それらを教師データとしてAIに覚え込ませ、何もない状態でCTを読ませたところ、ある程度の臓器や血管を認識することが可能であった。この進捗は当初より予想していた範囲であり、次年度の研究に繋げることが可能であると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに作成した教師データをもとに、奈良先端技術大学院大学とAI解析の研究を行い、100例程度で胃をAIが自動認識できるかを確認する。エラーがあれば医師の方で確認し、適宜修正して再度AIに覚えさせる。それらを繰り返すことでAIの精度を向上してゆく。胃での教師データ作成が進んでいるので、十二指腸や膵臓でも同様の作業を行う。 さらに周囲血管の自動認識も行う。これらの画像を合わせることで手術前の患者の情報をAIが自動で認識できるシステムを構築し、手術に際しての胃や周囲組織の情報を術前に容易に得ることができるようにする。最初からそれらの情報をもとに手術を行いうるわけではばく、まずは教育など患者の不利益にならない段階から臨床への応用とすすめていく。
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