研究課題/領域番号 |
22K07687
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
梅田 泉 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任研究員 (40160791)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | リポソーム / プラットフォーム / 核医学治療 / セラノスティクス / 創薬 / ラジオセラノスティクス |
研究開始時の研究の概要 |
浸潤や転移で全身性に至ったがんの根治は困難であり治療法開発は社会の要請である。本研究では核医学治療用核種とDDS、錯体化学を巧みに組み合せ、全身性がんをも治療可能な核医学治療の新規医薬品開発を企画する。リポソームをプラットホームとして治療薬本体である放射性核種の体内動態や標的病巣の線量をより高度に制御できるシステムを構築し、さらにradio-theranostics医薬品への展開を図る。
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研究実績の概要 |
全身がんに対する治療法として細胞傷害性放射線放出核種を治療薬の本体とする核医学治療が期待されている。また画像診断と治療を組み合わせるラジオセラノスティクスは個別化医療推進に有用である。しかし、現時点では実臨床に導出されている薬剤は数少ない。標的病巣に治療やイメージングに充分量の放射性核種を送達すると共に、正常組織集積を最小限に留めることが重要である。本研究ではDDSキャリアであるリポソームをプラットフォームとして放射性核種の体内動態や標的病巣の線量をより高度に制御できるシステム構築を目指した。 本年度は基礎的データの不足している治療用核種を中心に検討を進めた。リポソームへの封入方法として、錯体交換反応を利用したリモートローディング法を応用した。我々はこれまでIn-111を効率良くリポソームに封入しており、その条件と比較しながら種々の放射性核種に対する最適条件を検討した。脂溶性配位子として、8-ヒドロキシキノリン、アセチルアセトンなどを、リポソーム内水溶性配位子として、DOTA、DTPA、NTA、ECなどを検討した。Cu-64はいずれの配位子とも容易に錯体を形成し, In-111よりも低温かつ短時間にリポソームへの封入が完了した。一方Y-88/90はIn-111に比べ、安定な錯体形成やリポソーム封入により厳しい条件を必要とした。Re-186ではIn-111とは異なる配位子の組合せが必要であった。配位子の種類や反応条件を放射性核種ごとに最適化することで、リポソームへの効率的な封入(85%以上)が可能となった。また、DOTAをプレロードした同一組成のリポソームに、In-111、Cu-64、 Y-88/90を、それぞれ効率よく封入することが可能となった。リポソームのプラットフォームとしての有用性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
治療用核種は入手が難しく、基礎的データが不足している。本研究では錯体形成に関する化学的性質や反応性について詳細な検討を実施し、多くのデータを得ることが出来た。リポソームへの封入もより確実となった。今後の研究展開に大いに寄与する成果である。
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今後の研究の推進方策 |
・リポソームをプラットフォームとしての有用性を高めるため、同一組成のリポソームに場合に応じて種々の核種(画像診断用、治療用共に)を封入できるシステム構築を図る。製剤としての安定性や保存性なども検討する。 ・担がんマウスを用いて、それぞれの放射性核種封入リポソームについて腫瘍集積性や体内動態を検討する。イメージングによるデータ取得も予定する。Radio-theranosutics製剤として、個別化医療に役立つ薬剤設計を検討する。
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