研究課題/領域番号 |
22K07694
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 豊 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40353461)
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研究分担者 |
武島 嗣英 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 重粒子線治療研究部, 主幹研究員 (10360950)
西尾 禎治 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40415526)
小泉 雅彦 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90186594)
皆巳 和賢 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90634593)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 放射線 / 腫瘍免疫 / アブスコパル効果 / 骨肉腫 / 膵管癌 / 免疫微小環境 / 免疫チェックポイント阻害剤 / 同所移植 |
研究開始時の研究の概要 |
我々はこれまでに、難治性腫瘍である骨肉腫、膵管癌を対象に、両脚皮下移植マウスモデルを用いた免疫チェックポイント阻害剤 (ICI)と放射線(X線、または炭素線)との併用効果を研究を行い、高線量の単回、または寡分割照射との同時併用により、免疫介在性の遠隔転移制御が得られることを明らかにしてきた。本申請課題では同所移植マウスモデルを用い、これまでの皮下移植モデルよりも臨床に近い状況、すなわち、がん関連線維芽細胞(間質)や治療による線維化が再現される腫瘍免疫環境変化に焦点を当て、X線及び重粒子線とICIの併用による効果的な遠隔転移制御を目指した最適な併用指標を解明し、新たな治療戦略の提供を目指す。
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研究実績の概要 |
我々はこれまでに、難治性腫瘍である骨肉腫、膵管癌を対象に、両脚皮下移植マウスモデルを用いた免疫チェックポイント阻害剤 (ICI)と放射線(X線、または炭素線)との併用効果に関する研究を行い、高線量の単回、または寡分割照射との同時併用により、免疫介在性の遠隔転移制御が得られることを明らかにしてきた。本申請課題では同所移植マウスモデルを用い、これまでの皮下移植モデルよりも臨床に近い状況、すなわち、がん関連線維芽細胞(間質)や治療による線維化が再現される腫瘍免疫環境変化に焦点を当て、X線及び重粒子線とICIの併用による効果的な遠隔転移制御を目指した最適な併用指標を解明し、新たな治療戦略の提供を目指し研究を行っている。今年度は主に以下の3点を検討した。 ①マウス骨肉腫LM8細胞をマウスの腓骨に移植し、放射線照射の有無による局所及びアブスコパル効果並びに腫瘍内の免疫環境の解析を行った。同所移植モデルでは、皮下移植に比べ、より放射線線抵抗性であるデータが得られた。腫瘍免疫環境の解析も、抗腫瘍性の免疫細胞が少ないデータが得られた。 ②重粒子線とICIの併用による効果解析における膵管癌の同所移植モデルと比較データ(皮下移植モデル)を取得した。皮下移植モデルでは、炭素線とICIにより、光子線に比べ、より低い線量の寡分割照射によってアブスコパルが誘導され、抗腫瘍性である細胞傷害性T細胞と腫瘍促進性の制御性T細胞の存在比が増加傾向にあるデータを得た。 ③膵管癌の腫瘍関連性線維芽細胞 (CAF)との共培養法の確立を目指し、現在CAFの誘導を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
同所移植のために樹立したルシフェラーゼを遺伝子導入した骨肉腫細胞株(LM8-Luc)と、これまでに私たちが腫瘍免疫関連研究で使用してきた野生株(LM8-WT)で全く異なる放射線感受性を有していることが判明したため、野生株を用いた実験を進めることにした。そのため、特に腫瘍内免疫環境を解析するために設定するタイムポイントの設定に時間を要した。腓骨に腫瘍を移植した後の腫瘍の大きさを測定する方。また、膵管癌モデルに関しても、動物実験施設の改修工事に伴い、ウィルスベクターを用いてルシフェラーゼを安定発現させた膵管癌細胞を移植したマウスを、当初予定していた蛍光イメージングを取得した後に再び飼育室に戻すことが困難であることから、実験系を再検討する必要が生じた。ただし、同所移植モデルの対照となる皮下移植モデルについてはデータが順調に得られているため、やや遅れている状況と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
骨肉腫細胞の同所移植モデルに関しては、腫瘍生着から骨破壊までのタイムラインが把握できたため、今後はより順調に研究が進むと思われる。また、動物実験施設における動物用CTの撮影と、撮影後に飼育室にマウスを戻すことも可能となったため、より効率的に研究が進むと思われる。 また、膵管癌モデルに関しては、CAFと膵管癌細胞の共培養モデルに切り替えて研究を行うことで、目的が達成できると考える。具体的には、脂肪組織由来間葉系幹細胞と膵管癌細胞の共培養によりCAFを誘導し、そのCAFと膵管癌細胞を混合したモデルで同所移植ライクな実験系の構築を試みている。このモデルを用い、in vitroにおける放射線に対する応答、in vivoにおける免疫応答や腫瘍内微小環境の変化、ICIと重粒子の併用による局所及びアブスコパル効果等を明らかにしていく予定である。
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