研究課題/領域番号 |
22K07698
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
藤原 康博 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (90422675)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 磁気共鳴画像 / 神経変性疾患 / 定量的MRI / パーキンソン病 / マルチパラメトリックMRI / 定量評価 / 磁化移動効果 / 高分子プロトン / 黒質 |
研究開始時の研究の概要 |
パーキンソン病の臨床診断において、運動症状の出現時には黒質のドパミン神経の50%以上が変性していることから、Prodromal期の早期変性を評価可能な画像バイオマーカーが求められている。パーキンソン病の主たる病態は中脳黒質のドパミン神経脱落と鉄過剰であり、MRIを用いてこれらの進行を評価できれば、病期や治療評価の監視に有用である。本研究では、中脳黒質の高分子プロトンと磁化率を同時に推定するマルチパラメトリックMRI を開発し、黒質の神経脱落と鉄蓄積の変化を定量的に評価する複合的画像バイオマーカーの利用可能性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、パーキンソン病においてProdromal期の早期神経変性を評価する画像バイオマーカーの探索を目的としている。昨年度は、脳を対象とした3Dマルチパラメトリックイメージング技術の開発および高精度な定量値を取得するための最適な撮像パラメータを決定した。本年度は、最適化した3D高速スポイルドグラジエントエコー法を用いて、高齢健常者とパーキンソン病患者を対象に撮像を行った。取得した画像を用いて、高分子プロトン分画、磁化率、R1値、R2*値の各定量値マップを計算した。これらのマップに対して事前に定義された16の深部灰白質の神経核アトラスを用いて、被検者の画像上で領域ごとに定量値を自動的に測定する画像解析ワークフローを構築した。症例の蓄積と並行して、マルチパラメトリック解析を行った結果、複数の定量値の中で、特に高分子プロトン分画および磁化率では、複数の脳神経核で健常者とパーキンソン病患者との間に有意な差を認め、パーキンソン病では、複数の神経核で高分子プロトン分画が低下し、磁化率が上昇することが示された。そのため、現時点では症例数が限られているものの、これらのパラメータを用いたマルチパラメトリックMRI解析がパーキンソン病の診断に有用である可能性が示された。現在は、信頼性の高い結果を得るために、引き続き症例を蓄積している状況である。また、これまでの研究成果の一部は、2024年の5月に開催される国際磁気共鳴医学会(ISMRM)に採択され、発表を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、脳画像解析ワークフローを構築したこと、およびマルチパラメトリックMRIの評価に必要な症例が徐々に蓄積されてきていること。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、さらなる症例の蓄積とマルチパラメトリック解析を進める。機械学習を用いて早期診断に有用なパラメータを明らかにする。神経核ごとに罹患期間や認知機能と各定量値との関連性など詳細な解析を行う予定である。
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