研究課題/領域番号 |
22K07702
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
妹尾 淳史 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 教授 (00299992)
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研究分担者 |
鈴木 政司 つくば国際大学, 医療保健学部, 講師(移行) (20719455)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | MRI / 拡散テンソル / 定量評価 / 木材 / ファントム / 磁気共鳴画像 / 拡散テンソル解析 / 定量評価ファントム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、MRI 拡散テンソル解析で高精度の定量評価が可能であり、かつ長期保存で も腐食や変形せず、ヒトの大脳白質神経を模擬することが可能なファントムの材料を決定し、かつ商用生産するうえで再現性の高いファントムの作成法を確立することを目的とする。 本研究は考古学分野で実用化されている技術を医学分野に応用する点で学際的であり、新たな学問領域を創出する可能性がある点が学術的な特色である。また、本研究は世界標準となりうる定量評価ファントムを商用化することを目標に開発する点が特徴であり、木材を拡散テンソル解析用のファントムとして世界に先駆けて開発するという点において高い創造性のある研究である。
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研究実績の概要 |
商用化に耐えうるMRI拡散テンソル解析用の定量評価ファントムの開発に向けて、複数条件で木材ファントムを作成し、一か月おきにMRI撮像した。撮像によって得られたデータから現時点でどの条件が最もファントムに最適であるかについて検討した。 商用化が可能なファントム作成には入手が容易な木材の使用が不可欠であることから、本年度はヒノキをファントム材料として使用した。ファントムは長さ3cmの立方体とした。長期保存が可能なファントム作成のために、木材の含侵にはアルコールを含んだ溶液を使用した。アルコールには、考古学分野で木材の長期保存に使用されるポリエチレングリコール(PEG)を使用した。PEGの分子量は常温で液体となるPEG400を使用し、濃度は10%,50%,100%の溶液を作成した。複数の溶液を用いることでどれが最もファントム作成に有用であるか検討することを目的とした。また、比較のために水を含侵させたファントムも作成した。 木材内部までPEGへの含侵するようPEG溶液に浸してから1か月間常温でインキュベーションした。そこから一か月ごとに撮像し、5か月分のデータを得た。得られたDWI画像から拡散テンソル定量値(FA値、MD値、AD値、RD値)の測定をした。 得られた結果からは、PEG濃度が高いほどMD値、AD値、RD値が小さくなることを明らかにした。PEG濃度の違いによって拡散定量値が異なったのは、PEGの粘度が関係していると考える。また、一か月ごとに取得した5回分のデータを用いて経時的な変化についても調べた。比較のためにそれぞれの条件の拡散定量値の変動から決定係数を算出し、変動が最も小さかったのはPEG濃度が10%のファントムであった。このような結果が得られた理由は、高濃度PEGほど浸透圧が大きいため、時間が経過するにつれて、木材の収縮を引き起こしたことが原因ではないかと推測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の現在までの進捗状況としては、おおむね順調に進展していると思われます。
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今後の研究の推進方策 |
現時点ではPEG濃度10%の溶液がファントム作成に最も適していると考えられる。 脳内の環境を再現するには水に近い粘度がよいと考えるとPEG濃度10%の定量値が水に含侵させたファントムに最も近いかったので優れているが、脳により近い拡散定量値が得られるPEG粘度に関してはもう少し慎重な検討が必要である。 しかし、より脳に近いファントムの作成のためには、なぜPEGを溶液として用いると拡散定量値に影響が出るのかについて、さらなる実験、検討を重ねることを今後の研究の推進方策とする。
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