研究課題/領域番号 |
22K07703
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
長谷川 浩章 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 講師 (20420218)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | X線CT / CT透視 / 空間散乱線量分布 / 線量管理 / 複合現実 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、CT-IVR(Computed tomography interventional radiology)従事者の被ばくを低減するべく、CT-IVRにて多用されるCT透視法を使用した場合に、最適なX線照射位相を術者が選択することができるような線量管理支援システムの開発を行う。当該システムは実空間への散乱線量分布の重畳ホログラム表示を用いて複合現実環境上に実装する。さらに、術者に対して逐一正確に線量情報をフィードバックが可能なシステムが実現できているかを含めて、人間工学的な観点から開発されたシステムの妥当性・有用性について基礎的な性能評価を行う。
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研究実績の概要 |
CT(Computed tomography)ガイド下手技(CT guided interventional radiology 以下CT-IVR)では、医療従事者(術者・介助者)の職業被ばくが問題となる。近年では、X線照射位相制御による間欠CT透視法(X線照射位相選択的間欠CT透視法)の普及により患者の被ばく低減が図られているが、手技中の累積散乱線量をリアルタイムに把握し線量管理を行うようなシステムが存在しない。本研究では、従事者が線量情報に基づいた最適なX線照射位相の設定することで能動的に職業被ばく低減を図ることが可能な複合現実による線量情報可視化システムを構築することにある。研究初年度に当たる2022年度では、実空間への空間散乱線量分布の重畳ホログラム投影表示のためのハードウェアの仕様・システム要件について検討を行った。データフローとしては、事前に取得された空間散乱線量分布を操作用スマートフォンに転送し、操作用スマートフォンに拡張現実の実装用に使用される眼鏡型デバイスを接続する設計とした。操作用スマートフォンにはインターフェイスとしてX線照射位相方向毎の空間散乱線量分布の選択(X線照射条件の選択を含む)・積算履歴表示・表示色の設定等が行えるような仕様とする予定である。CT装置側には拡張現実用マーカを設置し、実空間に対する空間散乱線量分布の位置合わせに使用する予定だが、空間散乱線量分布の点群がマーカに対して広域であるため、位置ずれ補正の精度を保証するために複数個のマーカを使用することによって、横方向補正および縦方向補正を行えるように実装する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年は実空間への空間散乱線量分布の重畳ホログラム投影表示のためのハードウェアに関して検討を行った。特に術者・介助者の頭部に装着する眼鏡型デバイスについては、装着した際の視野角が十分であること、頭部に長時間装着しても身体的に過度な負荷とならないよう軽量であること、現時点において空間散乱線量分布のマッピング技術を実装できる開発環境が整備されていること(開発環境として想定しているUnity 2021 LTSの最新版に対応したソフトウェア開発キットの使用が可能なデバイスの購入が可能なこと)等の条件が必要であることが認められたため、要件を満たすようなデバイスを選定するのに時間を要した。デバイス選定を慎重に検討した結果、開発が問題なく遂行可能でありデバイスも確実に購入可能なことを確認できたため、2023年度の予算にて購入する予定である。併せて、周辺機器として術者・介助者がインターフェイスとして用いるスマートフォンおよびデータストレージに供するパーソナルコンピュータ等の入出力機器に関しても併せて購入することとしている。実際の開発は機器の購入の含めて2023年度に行うことになったが、進捗状況としては順調に遂行できていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度では眼鏡型デバイスを使用した複合現実による線量情報可視化システムの実装に取り組む。開発環境としてはUnityの最新版を用いて、空間散乱線量分布が記述されたファイルを操作用スマートフォンに保存し、ユーザインターフェイス上において入力された値に従って実空間へ空間散乱線量分布を重ね合わせてホログラム投影表示させる。パーソナルコンピュータには仮想開発環境を構築し、OSはスマートフォンのストレージを認識させる必要があるためWindows10(以降)とし、スマートフォンはAndroid OS 12以降とする。使用を予定している眼鏡型デバイスには、対応するスマートフォンが指定されているが、眼鏡型デバイスと同様に購入が可能なことを確認しているため、研究遂行のための機器は繰り越した予算にて早期に購入し、線量情報可視化システムの実装に着する予定である。空間散乱線量分布に関しては、実測値・数値計算によるデータのいずれも対応可能なファイルを想定して開発を進めるが、現時点では本邦にて開発されたモンテカルロ計算コードであるPHITSを用いて空間散乱線量分布を取得する予定である。
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