研究課題/領域番号 |
22K07711
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
飯泉 天志 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (20784630)
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研究分担者 |
森 寿 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (00239617)
松本 孔貴 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70510395)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | NMDA受容体 / 放射線治療 / 温熱治療 / 増感作用 / 膵臓癌 / 温熱療法 |
研究開始時の研究の概要 |
難治性癌の代表的疾患である膵臓癌は、外科的切除が治療の第一選択であるが、初診時には7 割近くが切除不能である。切除不能な膵臓癌に対する化学療法や化学放射線療法は、現状では予後は短期である。従って治療強度を高めた新治療法としてN-methyl-D-aspartate 受容体シグナル伝達経路を阻害することで、温熱療法併用放射線治療の抗腫瘍効果の増感作用が安全に得られることを細胞レベルで明らかにする。また、上記増感作用に関与するDNA損傷応答経路のメカニズムを明らかにする。さらに、3次元培養モデルでの腫瘍増殖抑制効果を検証し、今後のトランスレーショナル研究に発展させるための、基礎情報を得る。
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研究実績の概要 |
1. ヒト膵臓癌細胞Panc-1およびBxPC3におけるNMDA受容体発現の確認:Revevrse transcription polymerase chain reaction(RT-PCR)によるPanc-1細胞およびBxPC3細胞におけるRNAの発現状況を調査し、NMDA受容体のサブユニットに対応するRNAの発現状況をPanc-1細胞、BxPC3細胞ともに明らかにした。また、NMDA受容体サブユニットの蛋白発現状況もWestern blottingを用いて一部明らかにした。蛋白発現状況については、次年度も継続して調査予定である。 2. 毒性評価試験と細胞死実験:当初、NMDA受容体拮抗薬であるMK-801およびメマンチンを用いてIC50を測定する毒性評価試験を実施して調査する予定であった。しかしながら、従来報告されている癌細胞に対するNMDA受容体拮抗薬の使用濃度が神経科学分野で用いられている濃度と比較してきわめて高いことが原因で細胞死を引き起こしている可能性が示唆された。そこで、NMDA受容体発現のないHEKT細胞とPanc-1細胞、BxPC3細胞を用いて毒性評価を行ったところ、我々の想定通りの結果となった。そのため、ゲノム編集技術を用いてPanc-1細胞についてNMDA受容体サブユニットに遺伝子変異を導入してNMDA受容体の機能を阻害した細胞を作成することとし、樹立に成功した。今後この細胞を用いて、細胞死実験を進める予定である。 3. NMDA受容体拮抗薬の細胞周期停止機構への影響:上記2.の実験の次の段階として実施予定である。 4. 3次元(3D)培養腫瘍モデルへの効果を検証する:上記2.で得られた最も抗腫瘍効果の高い組み合わせを用いて、検証予定である。 また、上記1-4について学会参加を通じて実験手法やトランスレーショナル研究への移行の仕方等について情報収集に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初想定していた先行研究の報告に基づくNMDA受容体拮抗薬の濃度が、きわめて高濃度であり、高濃度であること自体が原因で細胞死が惹起されている可能性が今年度明らかとなった。そのため、拮抗薬の使用のような外因的要素によるNMDA受容体の阻害ではなく、内因的要素によってNMDA受容体を阻害するためにゲノム編集技術を用いてNMDA受容体サブユニットに変異を導入した細胞を樹立することに時間を要したのが、上記区分となった主要因である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度で樹立した遺伝子変異導入Panc-1細胞を用いて、次年度においては、細胞死実験、細胞周期停止機構への影響、3次元腫瘍モデルへの影響を調査していく。
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