研究課題/領域番号 |
22K07712
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
田代 睦 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 教授 (60447274)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | カーボンナイフ / 定位炭素線治療 / 微小ビーム / 照射技術 / 重粒子線 / 炭素イオン線 / 3Dプリンター / レンジモデュレーター |
研究開始時の研究の概要 |
炭素線は急峻なブラッグピークや小さな側方散乱による高い線量集中性、高い生物学的効果を有する。これらの特長と超高線量率を兼ね備えた定位炭素線治療(カーボンナイフ)照射技術を開発する。最小1 mmサイズの微小炭素線を形成し、動物の微小標的に対してピンポイントに照射可能な技術を開発する。そのために、微小ビームに対する線量・線質(LET)分布の計測手法の確立、動物CTから炭素線の阻止能を求め打ち込み深さを制御する手法の確立、微小ビームに対する線量・線質分布計算モデルの開発と実装、高精細な動物用位置決めシステムの開発を行う。これら各要素を実証しながら照射技術の仕様・性能を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
定位放射線治療は微小標的に対して高線量を照射できる治療法であるが、周辺線量の広がりが無視できないことから、周辺リスク臓器への副作用が懸念され、しばしば標的への不十分な線量投与を余儀なくされる。炭素線は急峻なブラッグピークや小さな側方散乱による高い線量集中性、高い生物学的効果を有する。これらの特長と超高線量率を兼ね備えた定位炭素線治療(カーボンナイフ)照射技術を開発することを目的としている。 数~数十mmサイズの微小炭素線を形成し、動物の微小標的に対してピンポイントに照射可能な技術を開発する。そのために、微小ビームに対する線量・線質(LET)分布の計測手法の確立、動物CTから炭素線の阻止能を求め打ち込み深さを制御する手法の確立、微小ビームに対する線量・線質分布計算モデルの開発と実装、高精細な動物用位置決めシステムの開発を行う。これら各要素を実証しながら照射技術の仕様・性能を明らかにすることが具体的な目的である。 当年度は、様々な標的形状に対応した照射を実現するために、汎用3Dプリンタを用いたリッジフィルタ兼飛程補償フィルタ、いわゆる3Dレンジモデュレータ(RM)を検討した。試験検討のため、様々な条件でリッジフィルタを設計製作し、炭素線による拡大ブラッグピーク形成および平坦性の確認を行った。バー型と四角錐型のリッジでは構造的に四角錐型が安定しており、複数の条件下で設計に近い拡大ブラッグピーク(SOBP)が得られた。しかし、リッジの間隔としては、製作の再現性や照射野やSOBPの平坦性を考慮すると、また今後飛程補償フィルタを組み合わせることを考慮すると、3 mmピッチが望ましいことがわかった。3Dプリンタ作製条件や設計形状については更なる試行錯誤が必要である。今後リッジフィルタに加え、超高線量率照射にも対応できる、飛程補償機能を備えた3DRMの試験を行っていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の実施計画としては、大きく以下の4つに分類される。①微小ビームの線量分布やLET分布の測定、②動物体内の炭素線打ち込み深さ制御、③体内線量・LET分布計算システム(治療計画)の開発、④位置決めシステムの開発、である。 昨年度は主に②の動物CTに対するCT値-炭素線阻止能比変換に関する検討を行った。本年度は、主に①に関連して、様々な標的形状に応じて3次元照射を可能とするためのリッジフィルタ、3Dレンジモデュレータの検討を行った。様々な条件で汎用3Dプリンタを用いてリッジフィルタを作製し、拡大ブラッグピークの平坦性やラテラル照射野平坦性を確認し、複数の条件下で設計に近いリッジフィルタが得られた。更なる試行錯誤や3DRMへの応用試験を予定している。 さらに③に関する線量分布計算および最適化の検討も進めているところである。 以上より、概ね順調に進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
動物CT装置の阻止能比変換校正については、生体物質や条件を広げてより詳細に調べる予定である。3Dプリンタを用いた3DRM開発については、リッジフィルタを継続して調べるとともに、様々な照射形状、特に拡大ブラッグピークや標的遠位側の打ち込み深さの多様性に対応するための動物照射用リッジフィルタや補償フィルタの機能を備えた3DRMについても継続して検討を進める予定である。また、動物照射計画システム開発のための線量分布の定量化、最適化についても検討を進め、ビーム試験を行う予定である。
|