研究課題/領域番号 |
22K07717
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大江 一弘 大阪大学, 放射線科学基盤機構附属ラジオアイソトープ総合センター, 准教授 (90610303)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 核医学治療 / 加速器製造核種 / ベータ線放出核種 / セラノスティクス |
研究開始時の研究の概要 |
現在、核医学診断・治療用の放射性核種の多くは海外からの輸入に頼っている状況であることから、国内で稼働している加速器を用いて診断・治療用放射性核種を安定的に供給することが求められている。また近年、診断と治療を融合的に進めるセラノスティクスが注目されている。本研究では、加速器で製造可能であり、治療に利用可能なベータ線を放出し、さらに診断に利用可能なガンマ線も放出するセラノスティクス候補核種としてセリウム-141に着目し、加速器による最適な製造条件、製造後の分離精製条件の最適化、治療用薬剤として利用するための薬剤標識の検討を行う。
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研究実績の概要 |
本年度は141CeのBa標的からの効率的な分離精製条件の検討を行った。Ln resinを使用したカラム分離を検討していたが、自然落下による溶出では全体のカラム分離に4 h程度の時間を要することがわかった。そこで、カートリッジ型のLn resinカラムを使用し、溶液をシリンジを用いて送液することで溶液流速を上げてカラム分離時間を短縮し、141CeとBaが迅速に効率的に分離可能かどうか検討を行った。理化学研究所AVFサイクロトロンを用いて29 MeVの4HeビームをBaOペレットターゲットに照射し、141Ceを製造した。照射後のBaOターゲットを1 M HCl溶液に溶解して蒸発乾固後、10 mLの0.03 M HCl溶液に残渣を溶解した。この溶液をシリンジを用いてLn resinカートリッジ(粒径50-100 μm、樹脂量2 mL)に流し込み、1 mLずつ溶出液の分取を行った。その後、0.03 M HCl溶液を流してBaの洗い出しを行い、さらに1 M HClを流すことで141Ceの溶出を行った。流速は1-2秒当たり1滴程度とした。溶出フラクションをGe半導体検出器で測定して141Ceの定量を行った。またICP-MSを用いて各フラクション中のBaの定量を行った。 その結果、0.03 M HCl 15 mL程度でほとんどのBaが溶出でき、その後の1 M HClによる溶出で141Ceを回収できることが確認された。1 M HClによる141Ceの回収率は96%程度と高回収率であった。また、カラム分離に要した時間は1 h未満と、迅速にCeを分離することが出来た。Ceフラクションに混入したBa量をICP-MS測定の結果から見積もったところ、0.6 μg程度と非常に少ないことが確認できた(分離係数10^5程度)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は141CeのBa標的からの効率的な分離精製条件の検討を行い、迅速に高収率で141Ceを分離する手法を開発した。141CeフラクションへのBa混入量も非常に小さいことも確認できており、順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
141Ceの薬剤標識条件の検討を行う。Ceは希土類元素であることから、同族元素であるイットリウム、ルテチウム、アクチニウム等と同様にキレートによる標識が可能と期待される。放射性薬剤のキレート標識に広く利用されているDOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)と141Ceの反応条件の検討を行い、標識操作後に薄層クロマトグラフィーにより、標識が進んでいるかどうかの確認を行う。
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