研究課題/領域番号 |
22K07729
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
唐澤 久美子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60214574)
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研究分担者 |
若月 優 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, QST病院 治療診断部, 部長 (40399449)
村田 和俊 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, QST病院 治療診断部, 医長 (60644557)
尾松 徳彦 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 分子イメージング診断治療研究部, 医長 (90374280)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 重粒子線治療 / 早期乳癌 / 定位照射 / 根治照射 / 乳癌非切除治療 / 1回照射 / 炭素イオン線治療 / 乳癌 |
研究開始時の研究の概要 |
炭素イオン線治療は多くのがん腫で有用性が認められ、一部疾患では健康保険収載となり機器の小型化研究も進んでいる。しかし、乳癌に対する系統だった研究は申請者らが2013年に科研費基盤(C)にて基礎研究を行い、Ⅰ期乳癌に対する臨床研究を開始して以降である。これまでに60歳以上のⅠ期低リスク群対象の臨床試験(略称:乳腺Ⅰ)、20歳以上の0期とⅠ期での臨床試験(略称:乳腺Ⅱ 科研費基盤(C)採択)を中心に早期乳癌に炭素イオン線治療を行い良好な効果を得ている。今回、治療負担の更なる軽減治療を目的に、単回照射法の臨床試験(略称:乳腺Ⅲ)を行いその有用性を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究課題の3本の柱は、早期乳癌に対する炭素イオン線による腫瘍局所への1回照射の臨床試験の遂行、造影MRIからRadiomicsを用いて治療効果の予測を行う研究、新たな固定具の作成に関する研究である。 早期乳癌に対する炭素イオン線による腫瘍局所への1回照射の臨床試験は順調に症例を集積し第II相試験に入っている。 造影MRIからRadiomicsを用いての研究では、Dynamic MRIを用いて早期乳癌の炭素イオン線治療後の腫瘍血流変化を定量化できた。炭素イオン線治療後早期に、Washin-idx、Washout-idxが有意に低下し、早期から腫瘍の血流低下が生じていると考えられた。しかし、腫瘍縮小率とWashin-idx、W ashout-idx減少率との間に明らかな相関は認められず、独立したバイオマーカーとなる可能性が示唆されている。 腫瘍局所への照射では、試作したうつ伏せの乳房固定具を使用していたが、位置合わせ時に乳房皮膚が固定具の穴に挟まれる事例、照射後の乳房痛を訴える事例が散発した。線量分布の解析結果、照射後の乳房痛の原因はうつ伏せに体位によるビーム方向の制約で大胸筋に線量が入るためとわかった。そこで、仰臥位あるいは側臥位で乳房を固定できる方法を再検討し「乳房の型取り」を行う方法に考え至った。 検討の結果、「乳房の型取り」をした乳房固定具の作成にはスキャナ+パソコン+3Dプリンターが、簡便かつ安価で正確性が高いとの結論に至り、前倒し申請を行い購入した。現在、購入した3Dプリンターで作成した固定具にて次症例の準備を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床試験の登録は継続している。 造影MRIからRadiomicsを用いての研究の解析は終了し論文を投稿し受理された。 うつ伏せ固定具の試みは思い通りに行かなかったが、3Dプリンターで患者個人の乳房の形状にカスタマイズすることで適切な固定具を負担少なく作成できる方法を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、臨床での使用を通して新たな固定具を完成することを目指している。既に購入したスキャナにて乳房の形状をスキャンして、そのデータをパソコンで処理し、3D プリンターにて患者個々人の治療体位での乳房の形状に合致した乳房固定具を作成している。今後はそれを装着して重粒子線治療を行い、改良を重ね、さらに精度良く患者の負担も少ない照射法と固定具を完成する。その固定具作成のプロトコールは他施設への展開可能なフォーマットとして作成し、粒子線治療の班会議などを通して日本全国の施設、あるいは粒子線治療の研究会を通して世界に展開する。例えば、2024年6月には Particle Therapy Co-Operative Groupの第62回年次総会(シンガポール)での発表を予定している。今回の研究では申請した研究費より交付された研究費は減額されており、当初から予算に見合っていなかったが、今回の不足金額と次年度の 研究費は手持ちの研究資金あるいは、共同研究者となっている小此木範之医師の科研費Bにて補い、研究を遂行する。
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