研究課題/領域番号 |
22K07733
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
立野 沙織 近畿大学, 大学病院, 助教 (50881463)
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研究分担者 |
土井 啓至 近畿大学, 医学部, 講師 (50529047)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 肺癌 / 放射線肺臓炎 / 放射線治療 |
研究開始時の研究の概要 |
間質性肺炎合併例での胸部放射線治療は重篤な肺臓炎を高頻度に発生する。間質性肺炎合併肺癌における最適な放射線治療技術や放射線防護剤を開発するための実験モデルの開発は急務である。本研究ではブレオマイシンによる間質性肺炎マウスモデルを用いてマウスの胸部に放射線照射行うことで、間質性肺炎患者における放射線肺臓炎を評価可能な動物実験モデルを確立し、間質性肺炎の放射線感受性への寄与を証明する。次に、間質性肺炎マウスへの胸部放射線照射後に吸入ステロイドの吸入を行うことで吸入ステロイドの放射線防護効果を証明する。吸入ステロイドは喘息治療薬として広く用いられており、高リスク肺癌患者での臨床応用が期待される。
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研究実績の概要 |
実験に先駆け、現在の標準治療を施行した症例での肺臓炎発生パターンについて解析を行った。化学療法併用放射線治療を施行したIII 期非小細胞肺癌患者43 例を遡及的に解析した。放射線肺臓炎はGrade 2: 3: 5 = 12 (28%): 4 (9%): 1 (2%)で、Grade 2 以上の肺臓炎はCRT 開始後14.0 (7.1~49.6) 週で発症し、うち14 例(82%)は放射線治療開始後6 カ月以内に発症していた。全生存率や無増悪生存率、放射線肺臓炎発生率は、臨床試験の結果と相違ないものであることを確認した。 次いで、経時的に経過観察可能な放射線肺臓炎の動物実験モデルの作成を目指して動物実験を行った。 8週齢雄性C57BL/6Jマウスを片側胸部照射、両側胸部照射、非照射群に分け、照射は20Gyの単回照射を行った。照射後4週おきにCT撮影を行い、20週時点で肺を摘出し評価した。いずれも約16週時点で肺臓炎の出現を確認した。また、同様に8週齢雄性C57BL/6Jマウスに対して胸部に20Gyの単回照射を行った12時間後、60 時間後と、非照射のマウスでそれぞれ肺を摘出し、病理にてPDL1染色、ATM染色、TUNEL染色を行った。その結果、PDL1染色とATM染色では明らかな変化を認めなかったが、TUNEL染色ではTUNEL陽性細胞数は12時間後で増加し、60時間後には減少していた。したがって、放射線照射後、正常肺組織のアポトーシスは12時間以降は減衰することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今後の放射線防護の投薬実験に先駆け、放射線照射の技術の確認と、胸部照射による放射線肺臓炎の出現をCT画像や病理で確認し、進歩状況は概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
得られたデータをもとに、さらに放射線肺臓炎の動物実験モデルの確立を行い、放射線防護作用の検証のための投薬実験を行う。
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