研究課題/領域番号 |
22K07735
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 弘前大学 (2023) 一般財団法人脳神経疾患研究所 (2022) |
研究代表者 |
佐藤 まり子 弘前大学, 医学部附属病院, 医員 (30645263)
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研究分担者 |
廣瀬 勝己 弘前大学, 医学部附属病院, 医員 (60623767)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 予測スコアモデル / BNCT / 再発頭頸部癌 / 有害事象 / ホウ素中性子捕捉療法 / BNCT誘発性悪心・嘔吐 / ホウ素中性子捕捉療法(BNCT) / 頭頸部癌 / 悪心・嘔吐 / 制吐療法 |
研究開始時の研究の概要 |
頭頸部癌に対するホウ素中性子捕捉療法(BNCT)では、治療後の悪心・嘔吐(BINV)が高い頻度で認められる。BNCTは従来の放射線治療とは大きく異なる特徴を有するため、RINVとは異なる機序でBINVが生じる可能性が大きい。本研究では、BINVのリスク因子を明らかにして発症予測スコアモデルを構築し、高リスク患者の弁別の一般化を図る。さらにBINV高リスク患者への制吐剤予防投与の有効性を検証する。本研究の成果をBNCTにおける制吐剤の適正使用に繋げることにより、患者の苦痛を可能な限り低減した上でBNCTを提供できる体制を確立していくことを目指す。
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研究実績の概要 |
1)簡便な予測スコアモデル構築についての検討 BNCT後悪心・嘔吐(BINV)発症のリスク臓器と閾値線量解明に関する解析のため、治療計画装置 RayStation (RaySearch社)のバージョンアップが必要であったが、本社との協議により、日本でのリリース時期は未定であり早期の解析は実施困難であることが判明した。このため、線量評価によるリスク因子の検討は断念し、極めて簡便にBINV発症を予測できるスコアモデルを構築するための検討を進めた。患者側の要因として、性別、年齢、パフォーマンスステータス、病理診断、T分類、N分類、頸部照射歴の有無、頸部手術歴の有無、化学療法歴の有無、腫瘍体積、治療側の要因としてビーム入射点位置と中性子線量を検討因子として抽出した。治療側要因は、過去の診断用CTで簡易的に実施するプレプランで評価可能な項目とし、実際の治療体位を決定してから行う本プランでの評価を行う必要がないものを選んだ。 2)予測スコアモデル作成 検討因子が多いことから、予測モデルの精度確保のために可能な限り多くの患者を対象とする必要があった。2023年11月までに南東北BNCT研究センターでBNCTを実施した頭頸部患者を対象とし、このうち80%をトレーニングコホート、20%をテストコホートにランダムに割り付けた。トレーニングコホートにおいて単変量解析を行い、リスク因子を同定した。これらについてさらに多変量解析を実施し、有意差を認めたものを予測モデル因子に採用した。構築したモデルについてHosmer-Lemeshow検定を行い、モデルの適合性に問題がないことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
治療計画装置のバージョンアップにより詳細な線量評価が実施可能となる見込みであったが、バージョンアップ自体が行われる見通しが立たなかったために、研究計画を変更する必要が生じた。これに至るまでの協議、並びに研究計画変更のための再検討に時間を要した。また、モデル精度確保のために多くの患者を対象として解析を行う目的で対象期間を長く設定したことで、予測スコアモデル構築までに遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者、研究分担者ともに、南東北BNCT研究センターを退職したことにより、当初予定していたBINV高リスク患者における制吐剤予防投与の有効性評価については、実施が困難な状況である。今後は下記の通り研究を実施していく。 1)予測スコアモデルの改良 構築した予測スコアモデルについて、精度をさらに高める目的で、検討因子の抽出やカテゴリーの分類方法、検定方法等の見直しを行う。検討因子については、過去治療における嘔気・嘔吐の有無や照射方法、リスク臓器の線量、使用した抗がん剤等のデータを収集し追加して検討を行う予定である。 2)スコアモデルの予測精度評価 テストコホートにおいてHosmer-Lemeshow chi-square testでの適合度評価、ROC分析での識別性評価、感度・特異度評価を行い、実臨床で利用可能であるかを検討する。スコアモデルの閾値を設定してBINV高リスク患者または低リスク患者に分類し、それぞれでBINV発生率を評価する。
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