研究課題/領域番号 |
22K07736
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
小藤 昌志 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所, 副所長 (10375066)
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研究分担者 |
伊川 裕明 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 重粒子線治療研究部, 医長 (00793928)
稲庭 拓 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 物理工学部, グループリーダー (10446536)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | LET最適化 / 重粒子線治療 / 放射線抵抗性 / 頭頸部がん / LET制御 / 難治性がん |
研究開始時の研究の概要 |
線エネルギー付与(Linear energy transfer:LET)は放射線の線質を表す物理量であり、単位距離当たりに付与するエネルギーで定義される。頭頸部領域の難治性希少がんの治療法の一つである重粒子線(炭素イオン線)治療はX線と比べてこのLETが高く、X線治療抵抗性腫瘍に効果が期待される根拠の一つとなっている。今回の研究では頭頸部がんに対する重粒子線治療において線量だけでなく線質(LET)も制御する新規重粒子線治療のシミュレーション研究・臨床研究により、重粒子線治療の抗腫瘍効果の最大化を目指し、重粒子線治療の治療成績の向上、また難治性がんに対する重粒子線治療のブレークスルーに繋げる。
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研究実績の概要 |
昨年度から行ってきた頭頸部がんに対する線量平均LETを制御する重粒子線治療の新規治療計画法のシミュレーション研究を論文化し公表した。過去に重粒子線治療を行った頭頸部がん患者13例の治療計画データ・CTデータを用い、臨床線量分布を維持したまま腫瘍体積内の線量平均LET最小値の最大化を試みた。その結果、既存の治療計画法と比較して腫瘍体積内の線量平均LET最小値を安全に中央値15keV/um増加できることを明らかにした。この結果により線量平均LETを制御する新規重粒子線治療は、これまでと同様の安全性で、より高い抗腫瘍効果が得られる可能性を示した。 このシミュレーション研究の結果を受けて実施している頭頸部がんに対する線量平均LET最適化重粒子線治療のFeasibility臨床研究について順調に患者登録が進み、12例の登録を完了した。この研究ではまず参照用に線量平均LET最適化を行わない通常の方法で治療計画を行い、続いて腫瘍内の線量平均LET最小値を最大化する線量平均LET最適化を行った。通常の治療計画と同様の線量分布を維持するため計画標的体積のD50%とD90%の誤差が原則±1%以内となることを条件とした。また正常組織への線量は線量平均LET最適化前後で臨床的に問題がないことを確認した。全例64 Gy /16回で治療された。LET最適化により腫瘍内の線量平均LET最小値は52 keV/μm から 63 keV/μmに、線量平均LET平均値は64 keV/μm から73 keV/μmに増加した。主要評価項目である早期有害反応についてはGrade3以上の皮膚障害、粘膜障害は認めず、またDLTと判断される他の事象も認めず、治療は安全に施行できた。副次的評価項目である局所一次効果はCR+PR率は67%であった。線量平均LET最適化重粒子線治療は安全に施行でき、有望な治療効果が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シミュレーション研究については研究結果を論文化し公表した。臨床研究についても順調に研究を遂行し、研究結果の論文化を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究の論文化を進める。また臨床研究で行った線量平均LET最適化治療計画の堅牢性の評価や照射方向や照射門数などの線量平均LET最適化に適した検討を進める予定である。
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