研究課題/領域番号 |
22K07749
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
浦田 芳重 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 特任研究員 (30185087)
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研究分担者 |
後藤 信治 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (50186889)
李 桃生 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (50379997)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 放射線治療抵抗性 / エクソソーム / 癌関連線維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
反復照射による癌細胞の放射線耐性獲得は、がん放射線治療における長年の難題である。本研究は、「癌関連線維芽細胞から分泌されるエクソソームが癌細胞の放射線治療獲得耐性に寄与する」との仮説を立て、がん放射線治療分野において長年の難題である癌細胞の放射線耐性獲得に関わる分子・細胞機序を解明すると共に、有効な解決策を新たに見出すことを目的とした。
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研究実績の概要 |
線維芽細胞にそれぞれ0、1、5 GyのX線を照射した。照射48時間後に培養上清から収集・精製したエクソソームを用いて、以下の実験を行った。 1)収集・精製したエクソソームの純度と濃度(量)をウエスタンブロット法によるCD63の発現で確認した。1と5 GyのX線照射による顕著な変化はなかった。 2)精製したエクソソームをMCF7乳癌細胞に添加培養を行い、培養後2日目に癌細胞を0、1、2 GyのX線に曝し、細胞生存数(MTT assay)およびコロニー形成能を測定し放射線感受性を定量評価した。1 Gyと5 GyのX線を照射した線維芽細胞由来エクソソームの添加培養は、細胞の生存に有意な影響を及ぼさなかったが、2 Gyを追加照射後の癌細胞では1 Gy照射した線維芽細胞由来エクソソームの添加培養では、0と5 Gy照射した線維芽細胞由来エクソソームを添加培養した細胞より、コロニー形成数が有意に高値であった。つまり、1 Gy照射した線維芽細断胞由来エクソソームでは、癌細胞の放射線抵抗性が誘導されることが示唆された。 3)メカニズムの解明として、癌細胞におけるDNA傷害の程度(gammaH2Ax免疫蛍光染色)、細胞周期、およびミトコンドリアの変化を調べた。その結果、1 Gy照射した線維芽細胞由来エクソソームは、癌細胞のDNA損傷修復に影響しているが、ミトコンドリアの断片化などへの影響は限定的であることが判明した。今後は、さらなる機序解明を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した実験は、予定通りに実施できた。これまでの結果から、より低めの線量(1Gy)で照射した線維芽細胞から放出されるエクソソームは、癌細胞の放射線耐性を誘導することが示唆され、その機序はDNA損傷修復に関与していると思われる所見も得た。
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今後の研究の推進方策 |
より低めの線量(1Gy)で照射した線維芽細胞から放出されるエクソソームが癌細胞の放射線耐性を誘導する機序をさらなる解明するため、ミトコンドリアの機能解析を含めて、他の角度からの検証を行う。
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