研究課題/領域番号 |
22K07770
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高階 正彰 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (10392010)
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研究分担者 |
八木 雅史 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座助教 (40737491)
金井 達明 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教授 (80161149)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 炭素線治療 / 3次元患者QA / スキャニング照射 |
研究開始時の研究の概要 |
炭素線治療における患者線量品質保証(QA)は現在、2次元線量分布測定を基に行われているが、これだけでは3次元線量分布全体にわたる検証を行えていることにはならない。そこで本研究では3次元分布全体を検証すべく、次の手法を開発する。 1.スキャニング照射では、照射毎に全てのスポット位置・照射量の実績値を保存している。この記録を用いて3次元線量分布を構築し、計画分布と比較する。 2.上記の照射記録にはビームエネルギーの実績値は記録されないため、治療ビーム照射時にエネルギーを測定する手法を開発し、検証をより強固なものにする。 以上の手法により現行の手法よりも迅速に、また3次元的な検証を行うことが可能となる。
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研究実績の概要 |
粒子線治療におけるスキャニング照射では、細いペンシルビームを重ね合わせて平坦な線量分布を形成しているため、患者線量品質保証(QA)として3次元での線量分布検証を行うことが必要であると考えられる。本研究では、照射毎に記録されるスポット位置、照射量の実績値(ログデータ)と、モンテカルロ計算によるペンシルビームの線量分布を用いて水中での線量分布計算を行い、3次元線量分布を構築して患者QAを3次元で行うことを提案する。これまでに、線量分布計算、3次元ガンマ解析を行うコードを開発し、従来の測定を用いた方法との比較、評価基準の設定を行った。現在、結果をまとめて論文を執筆中である。 ログデータにはエネルギーIDのみが記録され、実際のエネルギーが測定されて記録されているわけではないため、並行して、エネルギーを導出するための線量モニターの開発も行っている。これは、入射エネルギーによってモニターの中のガスに付与する線量が異なることを利用したものであるが、照射野の中心1点への照射ではなく、実際の治療ビームの照射時に測定を行うため、照射野全体をカバーする大型のモニターが必要となる。これまでに大型モニターを設計・製作し、その感度の位置依存性や、サチュレーションカーブなどの特性を調べているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ログデータを使用した照射線量分布の再構築や、3次元ガンマ解析に関しては順調に進めることができ、実際の臨床に適用できるまでになった。 一方で、各ビームのエネルギーを測定するための大型線量モニターの開発にあたり、減衰器を使用して試験をしていたところ、意図した動作が得られず、電源が故障した。メーカーと相談をしながら、原因の解明や、アンプを使用する方法に切り替えることを検討し、さらに焼けた個所を修理する必要があったため、やや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
入射エネルギーの実績値を取得するための大型モニター線量計を完成させ、試験的にエネルギーをモニターする。ガスへの付与線量の、入射エネルギーの違いによる差異が小さく、作成した大型モニターによる識別が難しい場合に備え、他の方法によってもエネルギーを検証可能かどうかを検討する。スキャニング電磁石によって各スポット位置へビームが照射されるが、エネルギーが低ければ曲がる角度が大きくなり、高ければ小さくなるはずである。そこで、線量分布の広がりを計画時のものと比較することによってエネルギーを検証する方法を考える。 また、ログデータを使用した3次元患者QAに関して、半年~一年分のデータをまとめ、その結果の評価や、評価基準の見直しを行う。
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