研究課題/領域番号 |
22K07772
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
生口 俊浩 岡山大学, 保健学域, 教授 (90423293)
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研究分担者 |
馬越 紀行 岡山大学, 大学病院, 助教 (10780885)
櫻井 淳 岡山大学, 大学病院, 教授 (30444657)
深野 秀樹 岡山大学, 自然科学学域, 教授 (60532992)
都地 友紘 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (60828367)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | IVR / 光ファイバ |
研究開始時の研究の概要 |
光ファイバを血管内目的部位まで到達させたカテーテルを介して進めて、血管内焼灼により血管閉塞が可能であることを生体ブタを用いた動物実験で検証する。動脈閉塞に関しては血管撮影による動脈像、病理学的評価により検討を行う。あわせて、血管内焼灼において最適なパラメータ(出力、時間など)も評価する。
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研究実績の概要 |
我々の開発した「光ファイバ治療器」は正確な温度測定下に昇温可能なデバイスであり、これを血管内で用いることで動脈閉塞・塞栓が可能になると考えている。このために、まず生体ブタを用いた動物実験を計画し、1.光ファイバを血管内目的部位まで到達させたカテーテルを介して進めることが可能か否か、2.血管内にて光ファイバによる昇温が可能か否か、3.血管内において光ファイバによる温度測定が可能か否か、4.血管内焼灼により血管閉塞が可能か否か、を検証する予定である。 コロナ後でもあり、動物実験に関しては若干の計画の遅れをみとめたため、本年は主に費用がかからない状況で多数回の基礎実験、ファントム実験を実施した。具体的には、①0.25mmの光ファイバが血管撮影時のX線透視下に視認可能であることの検証、②光ファイバを目的部位まで誘導するのに用いるカテーテルの検証、③液体内でも正確な温度測定が可能であることの検証、④水流下で昇温可能であることの検証、⑤水流下でどのようなパラメータ(光の波長、出力、時間など)が好ましいかの検証である。結果は①光ファイバ先端にチタンをマーカーとしてコーティングすることで透視下において同定できた。②4または5フレンチの親カテーテル内をhigh-flow typeの子カテーテルをすすめ、その中を通して光ファイバを誘導する組み合わせを採用することとした。③液体内でも正確な温度測定が可能であった。④わずかでも水流があると静止した液体内と比べて同じパラメータでも、30~40%昇温温度が低下することが判明した。⑤複数の最適なパラメータを導き出した。 現在チームで今後の計画について話し合いを行っており、次年度の動物実験の実施計画書を作成済みである。生体ブタをもちいて焼灼前と直後、焼灼1日後の血管撮影による動脈像の評価、焼灼1日後に焼灼血管の臓器を摘出し病理学的評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2ヶ月に1度チームでオンラインミーティングを開催し、進捗状況の確認と今後の計画について話し合っている。動物実験で使用・検証できるように様々な形態をした先端の光ファイバを研究分担者が順次作成し、これによる昇温範囲と昇温部位の違いを検証し血管内焼灼において最適な先端形状を基礎実験において検証した。他にも費用がかからない状況で多数回の基礎実験、ファントム実験を実施し、①0.25mmの光ファイバが血管撮影時のX線透視下に視認可能であるか、②光ファイバを目的部位まで誘導するのに用いるカテーテルはどれが適しているか、③液体内でも正確な温度測定が可能であるか、④37℃に加温した水流による模擬的な実験回路を作成し水流下でも昇温可能であるか、⑤水流下でどのようなパラメータ(光の波長、出力、時間など)が好ましいかを検証した。結果は①光ファイバ先端にチタンマーカーを付加することでファイバが透視下において同定できた。②4または5フレンチの親カテーテル内をhigh-flow typeの子カテーテルをすすめ、その中を通して光ファイバを誘導する組み合わせが適していることが判明した。③液体内でも正確な温度測定が可能であった。④わずかでも水流があると静止した液体内と比べて同じパラメータでも30~40%昇温温度が低下することが判明した。⑤複数の最適なパラメータ候補を導き出した。それらの結果をもちいて動物実験を開始する予定であったが、新型コロナウイルスの影響で実験施設の確保が難しく、動物実験の開始が遅れた。しかし、現在は動物実験の実施の具体的な調整にはいっており、動物実験実施計画書も作成済みであり研究計画全体の大幅な遅れにはつながらないと考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの基礎的研究の成果を活かして本年度動物による実証実験を実施する予定であり、動物実験の実施計画書はすでに作成済みである。具体的な実験プロトコールは生体ブタ2匹を用いて右鼠径から動脈内に5フレンチのシースを挿入。4または5フレンチのコブラ型の親カテーテルをもちいて両側の腎動脈を選択。親カテーテル内を2.7フレンチのhigh-flow typeの子カテーテルを動脈分枝内にすすめ、これらシステムを介して光ファイバを目的血管にすすめて計画した焼灼プロトコールでの多数回の焼灼実験を行う。焼灼前後には血管撮影を頻回に行い、焼灼部位、焼灼血管の径、焼灼後の血管像の変化を評価する。焼灼翌日には再度の血管造影を実施予定であり、焼灼直後に仮に閉塞様の所見を得てもそれが真の焼灼によるものであったのか、それとも単に血管攣縮によるものであったのか再評価を実施する。これら複数回の血管撮影像と摘出腎臓を用いた病理組織像により行い最適な焼灼アルゴリズムを検索する。 なお、本年度に実施した模擬血管内の基礎的実験において水流下では30~40%の昇温の低下が認められたことから、生体ブタの血管内においても想定に対して十分な昇温が得られない可能性があるので、バルーンカテーテルを使用しバルーン拡張下に血流を停止させた状態での実験を併用することも計画している。 併せて現時点までの研究の成果を5月に和歌山で開催される第53回日本IVR学会総会にて発表予定であり、すでにFeatured Abstractとして受賞の報告をうけている。
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