研究課題/領域番号 |
22K07783
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
山沖 留美 大阪医科薬科大学, 薬学部, 講師 (60368181)
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研究分担者 |
平田 雅彦 大阪医科薬科大学, 薬学部, 講師 (00268301)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ヒアルロン酸 / 放射線照射 / ナノ粒子 / ホウ素中性補足療法 / DDS / ホウ素中性子捕捉療法 |
研究開始時の研究の概要 |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)では、現在、L-p-Boronophenylalanine (BPA) が脳腫瘍や頭頸部がんの治療に使用されている。適用範囲を拡大するべく、本研究では、がん幹細胞に高出現するCD44と親和性が高く、DDS製剤に利用されるヒアルロン酸ナノ粒子(HANPs)を放射線の主鎖切断作用により創製する。さらに、HANPsにホウ素化合物を封入し、血管透過性に基づくEnhanced Permeation and Retention (EPR) 効果の活用とがん幹細胞を標的とするホウ素-HANPsのBNCTへの有用性を評価する。
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研究実績の概要 |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に用いる製剤には、腫瘍組織内にホウ素濃度 20~40 ppmの集積性が求められる。つまり、NCTに必要とされる薬剤は、がん細胞へ選択的かつ多量に集積すること、大量投与が可能な毒性の低いことが必須となる。 本研究では、ホウ素薬剤の担体として、細胞外マトリックス主要構成成分の一つであるヒアルロン酸(HA)について、粒子サイズにより生体機能が異なり、がん幹細胞の増殖・転移に関与すること、及び、水酸基を多く有しているため1分子製剤あたりに多くのホウ素化合物を封入可能であることに着目している。まず、ヒアルロン酸ナノ粒子(HANPs)の作製は、分解剤を用いず生体適合性を保った状態で高分子の分子鎖を切断し、同時に殺滅菌処理も実施できる放射線加工により実施し、電子線照射によるヒアルロン酸(80万ダルトン以上)の分子鎖切断効果を明らかとした。さらに、塩基添加調整法により、放射線加工により得られたHANPsとボロノフェニルアラニン (BPA) の複合体形成(HANPs-BPA)を示唆する条件を見出した。 当該年度は、HANPs作製のための放射線加工法として、電子線とは線量率の異なるγ線 (Co-60)照射による分子鎖切断効果について検討した。高分子ヒアルロン酸にγ線を室温下にて5 kGy ~ 50 kGyに照射した結果、吸収線量に応じてヒアルロン酸の分子量は低下し、電子線とほぼ程度の分子鎖切断効果を示した。さらに、HANPs-BPAの細胞取り込みについて培養腫瘍細胞を用いて評価したところ、HANPs-BPAは糖-BPA錯体(Fructose-BPA)と比較して腫瘍細胞への高いホウ素取り込み量を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は、HANPs-BPAの培養腫瘍細胞へのホウ素取り込み率についてFructose-BPAと比較するインビトロ評価を実施した。さらに、担がんモデルマウスに各ホウ素複合体を投与した後、腫瘍内のホウ素量を測定し、インビボでのHANPs-BPA有用性を評価する予定であった。しかし、当該年度において、施設内の実験安全点検により実験停止期間が生じた。結果、担がんモデルマウスの作製などのインビボ評価法を構築するところまでしか進めることができなかったことから、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、HANPs-BPAによる培養腫瘍細胞への取り込み率増加の要因について評価する。腫瘍細胞内への取り込み経路として、BPAの主要取り込み経路であるアミノ酸トランスポーター(LAT-1)及びヒアルロン酸レセプターCD44の介在について評価する。さらに、良好な移行性を示した分子サイズのHANPsを用いて担がんマウスによるインビボでの有用性を評価する。
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