研究課題/領域番号 |
22K07789
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
細川 洋一郎 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (70173599)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 放射線治療 / サリノマイシン / 癌幹細胞 / 放射線抵抗性 / 口腔癌 |
研究開始時の研究の概要 |
放射線治療において腫瘍細胞残存と転移が大きな予後不良因子であり、より効果的な治療法の確立が求められている。放射線治療は優れた癌治療法ではあるが、治療期間中に癌幹細胞が腫瘍内に残存し増殖することで放射線抵抗性になり、この癌幹細胞の転移が患者の予後を悪化させる。サリノマイシンは放射線抵抗性細胞に対しても有効であるという知見があり、放射線治療とサリノマイシンを併用することにより、放射線抵抗性細胞を効果的に死滅させ、転移を防止することが可能であると考えた。本研究は、放射線抵抗性細胞に対するサリノマイシンの効果ならびに作用機序を明らかにすることで、新たな放射線治療法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
昨年度の研究より、放射線抵抗性獲得口腔扁平上皮癌細胞SAS-Rが親細胞株であるSASよりもサリノマイシンに対する感受性が高いことが明らかになった。しかし、このメカニズムの詳細は未だ不明である。そのうえで本研究では,口腔扁平上皮癌に含まれる癌幹細胞を分取し、放射線抵抗性克服のメカニズムについて検討した。 実験は口腔扁平上皮癌細胞株SASとその放射線抵抗性細胞株である SAS-Rを使用した。これら細胞に含まれる癌幹細胞に対するサリノマイシンの影響を検討するため、癌幹細胞マーカーCD24及びCD44抗体を用いてCD24陽性CD44陽性およびCD24陰性CD44陽性画分をセルソーターで分取し、癌幹細胞画分を濃縮した。CD24陰性CD44陽性画分を CSC 画分とみなした。 分取した細胞をそれぞれ溶媒コントロール(DMSO)、サリノマイシン単独投与、 2Gy単独照射、サリノマイシン併用2Gy照射の4群に分け、アポトーシス細胞の検出を行った。 フローサイトメトリーによる放射性抵抗性細胞のCSC画分割合の測定では、SAS細胞に対してSAS-R細胞は幹細胞性画分を多く有していた。このことがSAS-Rのサリノマイシン高感受性の要因となっていることを調べるため、幹細胞性画分とそれ以外の画分とでそれぞれサリノマイシン放射線増感とアポトーシス誘導について検討した。コロニー形成法によるサリノマイシンの放射線増感の検討では、幹細胞性画分であるCD24陰性CD44陽性細胞はSAS親細胞やCD24陽性CD44陽性画分細胞と比較してサリノマイシン投与群およびサリノマイシン併用2Gy照射群において生存率が有意に低下した。次に、フローサイトメトリーによるサリノマイシンのアポトーシス誘導に関する検討では、CD24陰性CD44陽性細胞はサリノマイシン投与によってアポトーシス誘導が顕著にみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者は科学研究費補助金申請段階で、2022年度サリノマイシンの放射線抵抗性細胞対する殺傷効果実験、2023年度サリノマイシンの放射線抵抗性細胞に対する機構解明、2024年度は転移アッセイによるサリノマイシンの効果判定、と実験計画を作成した。 2023年度では、 SAS細胞に対するサリノマイシンの放射線増感効果について、癌幹細胞を分取し検討した。放射線抵抗性を獲得した口腔扁平上皮癌細胞に対するサリノマイシンの放射線増感効果には、癌幹細胞に対する直接的効果の可能性が示唆され、放射線抵抗性細胞に対するサリノマイシンの作用機序の一端が解明された。放射線抵抗性細胞に対するサリノマイシン効果判定に重要な知見であり、総じて計画通りに進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後はさらに癌幹細胞に対するサリノマイシン併用効果を引き出す作用機序(例えばフェロトーシス)を解明するため、機能検査を併用し、放射線照射による生存率を測定する。その上で、放射線抵抗性口腔扁平上皮癌細胞中の癌幹細胞に対するサリノマイシンの効果を論理的に推定するため、in vivo実験を併用するとともに、新しい放射線生存率モデルへの適合を行い、臨床的放射線治療効果の判定に役立てる。
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