研究課題/領域番号 |
22K07811
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 京都医療科学大学 |
研究代表者 |
澤田 晃 京都医療科学大学, 医療科学部, 教授 (80543446)
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研究分担者 |
椎木 健裕 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (30610456)
石原 佳知 日本赤十字社和歌山医療センター(臨床研究センター), 放射線治療科部, 医学物理課長 (60709351)
森山 真光 近畿大学, 情報学部, 准教授 (00283953)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 適応放射線治療 / CBCT / 衝突検出 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、治療期間中の病巣の変化に合わせて再計画する適応放射線治療が注目されているが、治療直前に行う再計画の作業量は多い。高価なMRI画像を用いた専用装置の導入は難しい。そこで、既存CBCT搭載型の治療装置を用いて、再計画におけるCBCT画像の再構成から線量分布予測を短時間で可能とするシステムを開発し、治療当日に速やかな再治療計画を支援するオンライン適応放射線治療システムの実現を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、既存のCBCT(Cone-Beam Computed Tomography)搭載型の治療装置を用いて、治療期間中の病巣の変化や臓器の位置移動や変形に合わせて最適化し再計画するCBCT画像ベースのシステムを開発している。その構成要素である自動セグメンテーション機能を、パッチベースのディープラーニングを用いて開発し、原理実証した。局所進行前立腺がん患者の非造影全骨盤CTをデータセットとして、トレーニング用とテスト用に分割し、パッチベースU-netモデルを作成し学習させた。その際、腫瘍医がトレーニング用データセットから描出した重要臓器(前立腺、膀胱、直腸)の輪郭を正解とした。そして、テストデータを用いてセグメンテーション画像を検証し、精度が向上することを確認した。上記の結果は、欧州放射線腫瘍学会学術大会にて国際発表を行った。また、再治療計画として計算された照射パラメータの有効性を事前に判断する機能の開発に着手した。これは、照射装置や治療台の形状や可動域、駆動速度を用いて、機器と患者との3次元干渉を動的に検知し、再計画の段階で実施不可能な照射方向が取り除かれ、QA(Quality Assurance)の作業量を低減に繋がる。3次元デジタイザを用いて、被検者の体表データを計測し患者モデルを生成した。同様に照射装置や治療台の形状から生成した機器モデルも計測したが、治療装置サイズがデジタイザの計測可能域を超えるため、治療装置を小領域分割し、光学位置センサで計測した小領域の位置姿勢を座標変換により貼り合わせて、治療装置モデルを作成した。また、算出した治療計画情報に合わせて、患者および機器モデルの位置姿勢を動的に変化させ、物理干渉を検知するソフトウェアの開発に着手した。これにより、動的な装置の位置姿勢変化に対する物理干渉の検知が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発したセグメンテーション機能の精度は、4-PW-U-netを用いた場合、前立腺、膀胱、直腸に対して、DSC値では約0.8mm、HD値では約3.0mmとなり、高精度で臓器抽出が可能であることを原理実証し、欧州放射線腫瘍学会にて報告した。しかし、16-PW-Unetを用いた場合には前立腺と直腸を十分な精度で抽出できなかった。今後、その要因を解析するとともに、他のデータセットを入手して学習モデルの精度を上げ、再実験を行う。 機器と患者との相互干渉の検知に関しては、光学位置センサを用いて機器モデルを生成し、治療装置とベッドとの干渉状態の再現を行った。しかし、治療装置サイズが大きく手持ちの3次元デジタイザで形状モデルを作成できないため、別途協力施設から借用した光学位置センサを使用して、治療装置を複数の小領域に分割し、その表面データを粗く取得するとともに、小領域の位置姿勢の変化を座標系変換としてとらえて接合する方式を考案した。現時点では考案方式は単純な形状の模擬装置では良好なモデルを作成できたが、実際の治療装置での実験では十分な精度には達していない。また、装置サイズが大きく、高精度な計測が難しいため、今後改良を施すとともに、実際の治療室との合わせ込みに着手し、実治療室とシミュレータとの干渉条件下における誤差を調べる。
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今後の研究の推進方策 |
セマンティックセグメンテーション技術を用いて、CBCT画像から領域内の全画素をカテゴリ化するように学習させるソフトウェアを開発する。これにより、照射効果等により変形の生じた個々の領域の抽出が可能となることが期待できる。また、CNN(Convolutional Neural Network)を用いて、過去の治療計画に用いたCT画像、各種解剖構造と線量分布の関係モデルを考案し、ソフトウェアを開発する。実装モジュールへ治療当日の解剖構造を入力することにより、対応する線量分布が予測する。さらに拡張して、学習モデルに過去の照射パラメータを含め、実際の照射パラメータの算出を目指す。また、研究成果を学会にて発表していく。
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