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脳老廃物排泄過程に関するMRIを用いた評価方法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 22K07813
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分52040:放射線科学関連
研究機関秋田県立循環器・脳脊髄センター(研究所)

研究代表者

中村 和浩  秋田県立循環器・脳脊髄センター(研究所), 放射線医学研究部, 主任研究員 (10312638)

研究分担者 木下 俊文  秋田県立循環器・脳脊髄センター(研究所), 放射線医学研究部, 副病院長 (70314599)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワードMRI / 血液脳関門 / glymphatic system / 脳血流量 / 高分解能撮像法 / マイクロコイル / 撮像コイル / 脳循環代謝 / 蛍光顕微鏡画像
研究開始時の研究の概要

本研究は、動物用高分解能MRIシステムの製作によりMRIの空間解像度を向上させたうえで、脳老廃物の排泄過程について、MRIと蛍光顕微鏡画像の観察結果を対応させる。顕微鏡とMRI画像の比較を行う場合、MRIの撮像範囲が全脳におよんでいる必要がないことを踏まえ、研究目的に合わせたS/Nの高いマイクロコイルと局所勾配磁場コイルを作成する点に本研究の創造性があり、解像度の高いMRI画像を蛍光顕微鏡の撮像画像と精度良く重ね合わせて比較することに特徴がある。

研究実績の概要

初年度の研究により自作マイクロコイルでは想定されたS/Nの改善が見込めないことが理解されたため、脳老廃物の排泄過程についての新しい計測方法を検討することにした。検討したのは血液脳関門(BBB)透過性の計測である。持続的動脈飽和ラベル(pCASL)法では複数のPost Label Delay(PLD)と複数の撮像エコー時間(TE)の測定をおこない、その信号変化から2-コンパートメントモデルを利用することで、脳血流量(CBF)と動脈血到達時間(ATT)、BBB透過性を示す交換時間(Tex)とボクセル内透過時間(ITT)を推定する手法が提案されている。この手法をラット脳血流計測モデルに当てはめ、正常モデルラット(5匹)、脳梗塞モデルラット(4匹)でその測定精度を検討することにした。解析はMatlab上で開発した自作ソフトを利用し、CBF,ATT,Tex,ITTの4つのパラメータを正値とするシンプレックス探索法で推定した。
正常モデルラットについてはその平均値がCBF:97ml/100g/min, ATT:21ms, Tex:366ms, ITT:5msとして推定され、これまでの報告例とほぼ一致していることから、モデル解析が適切におこなわれているものと考えられた。脳梗塞再灌流モデルラットでは、脳梗塞後1日後でCBF:130ml/100g/min, ATT:390ms, Tex:630ms, ITT:110msとして推定され、BBBが破綻している様子が観察された。また、BBBの破綻による影響以上に脳血流量が上昇しており、臨床例の血栓回収後にしばしばみられる過灌流を反映しているものと考えられた。Texを評価することにより、脳梗塞後1~3日後のBBB破綻の変化を連続的に評価することが可能であり、この手法の有用性が示された。今後、この結果を踏まえて臨床患者への適用を検討していきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和5年度当初は、動物用マイクロコイルの改善により信号雑音比向上を目指したが、その向上により顕微鏡画像と比較することは困難であるとの結論にいたった。また、液体ヘリウムの高騰により、動物MRI装置を令和5年9月にシャットダウンすることが決定されたため、それに代わる手段として臨床用MRI装置を活用し、研究目的を達成する方法を検討する必要が生じた。本件研究課題では、老廃物の排泄過程に関するglymphatic systemついての新しい知見を得ることが目的であり、候補に挙がった手法の1つが血液脳関門(BBB)透過性の計測である。pCASL法では複数のPLDと複数のTEの測定から、2-コンパートメントモデルを利用することで、CBF、ATT、Tex、ITTを推定する手法が提案されている。このパラメータを利用し、glymphatic systemの機能を推定することを考えた。また、もう一方で低b値の拡散強調画像を利用するIVIM法も候補のひとつとしてあがった。そこで令和5年度はまず、動物用MRI装置がシャットダウンする前に実験動物を利用してBBB透過性について検討し、倫理委員会の申請をおこなった後、ヒトを対象にBBB透過性とIVIM法による測定を臨床MRI装置で検討することにした。

今後の研究の推進方策

液体ヘリウムの高騰により、動物MRI装置をシャットダウンせざるを得ない状況となったため、最終年度の令和6年度では、臨床用MRI装置を活用し老廃物の排泄過程に関するglymphatic systemついての新しい知見を得ることが目的とする。令和5年度において動物用MRI装置で検討した血液脳関門(BBB)透過性の計測を臨床用MRI装置で計測可能とする。令和6年3月に行われたソフトウェアの更新により、臨床用MRI装置でpCASL法の測定ができるようになっており、時間はかかるものの、複数のPLDとTeの測定から2-コンパートメントモデルを利用することで、CBF、ATT、Tex、ITTを推定する手法を適用可能である。また、低b値の拡散強調画像を利用するIVIM法は臨床患者での測定例があり、そのデータを改めて解析することで、glymphatic systemに関する新しい知見を得ることにする。
中村はこれまでの解析結果を生かして臨床用MRI装置の測定パラメータを最適化し、適切な解析結果が得られるようにする。木下は医師の観点から生理モデルに関する助言を行うと共に、実験方法の提案をおこなう。既存のシーケンスプログラムを利用することから始めるが、必要に応じてオープンソースシーケンスソフトであるpulseqの活用も検討する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] マイクロ送受信コイルによる動物用高分解能MRI 撮像法の検討2024

    • 著者名/発表者名
      中村和浩、木下俊文
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術報告

      巻: MBE2023-76 ページ: 42-45

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Investigation of rodent brain small area imaging using microcoil2023

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro Nakamura, Toshibumi Kinoshita
    • 学会等名
      第51回日本磁気共鳴医学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ラット脳血流量画像における非対称性磁気移動効果とPLDの関係2023

    • 著者名/発表者名
      中村和浩、木下俊文
    • 学会等名
      第66回日本脳循環代謝学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 2-コンパートメントモデルを用いたMRIラット脳血流量計測法の検討2023

    • 著者名/発表者名
      中村和浩、木下俊文
    • 学会等名
      第57回日本生体医工学会東北支部大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Low frequency BOLD signal fluctuation analysis in stroke patients2022

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro Nakamura, Toshibumi Kinoshita
    • 学会等名
      第50回日本磁気共鳴医学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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