研究課題/領域番号 |
22K07814
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
菊池 達矢 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部, 主幹研究員 (90392224)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 骨イメージング / ポジトロン断層撮像法 / PETプローブ / PET |
研究開始時の研究の概要 |
骨イメージングによる臨床診断に用いられる従来の放射性薬剤は、いずれもハイドロキシアパタイトへの結合による造骨活性を反映した診断情報を与えるが、骨特有の他の代謝情報を得ることができる放射性薬剤が無い。そこで、炭素-11標識したメチルマロン酸がマウスやラットの骨に高濃度かつ特異的に集積する一方で、ハイドロキシアパタイトにはほとんど結合しないことに着目し、メチルマロン酸を基本構造とする新たな骨診断情報を与える新規骨イメージング薬剤の開発を行う。
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研究実績の概要 |
本課題では、炭素-11で標識したメチルマロン酸([11C]メチルマロン酸)がマウスやラットの骨に高濃度かつ特異的に集積する一方で、ハイドロキシアパタイトにはほとんど結合しないことに着目し、メチルマロン酸を基本構造とする新たな骨診断情報を与える新規骨イメージング薬剤の開発を行っている。[11C]メチルマロン酸の一部は生体内において糖新生経路により[11C]グルコースに変換されるため、がんの骨転移では [11C]メチルマロン酸の骨への集積と[11C]グルコースのがん細胞への集積を判別できない。そこで、代謝安定性を有し、[11C]メチルマロン酸と同等の骨集積性を有する誘導体の開発を目指している。 2022年度では、代謝に安定な骨イメージング薬剤の候補として、まずα位にメチル基を追加した[11C]ジメチルマロン酸の標識合成を行い、小動物PETにより評価を行った。その結果、期待通りに骨への集積性は維持され、脳への集積も無くなった。このことは、α位へのメチル基の導入が糖への変換を抑制し、また脳移行性の代謝物の生成もないことを示した。しかしながら、全身のびまん性の分布は解消されなかったことから、骨以外の組織からのクリアランスを促進するような置換基の導入が必要と考えられた。 2023年度では、2022年度の結果を踏まえ、候補化合物をより親水性とすることで腎からの排泄を促進し、また代謝安定性が付与されることを期待して、2-[11C]メチルタルトロン酸および[11C]メチレンジマロン酸を候補化合物として合成を試みた。その結果、どちらのエステル体の標識は比較的容易に達成されたものの、加水分解後の収率は低かった。これは、加水分解における脱炭酸によるものと推定した。そこで、脱炭酸を抑制する反応温度や塩基触媒量などの諸条件を検討し、以降の実験に使用するのに十分な収率でこれらの化合物を得ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度の検討により、α位にメチル基を追加した[11C]ジメチルマロン酸の体内動態は一部理想的ではなかったものの、[11C]メチルマロン酸のα位への置換基の導入は骨集積に大きな影響を与えないことを確認することができた。そこで2023年度では、より親水性の高い候補化合物として2-[11C]メチルタルトロン酸および[11C]メチレンジマロン酸の合成を試みた。初期の検討において、収率は低いものの目的物を得ることが出来たが、予定していた小動物PETやex vivoオートラジオグラフィーなどを実施するためにはより収率を向上させる必要があった。そこで、収率を向上させるために種々の合成条件の検討を行い、十分な収率で両候補化合物を得ることを達成した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度では2022年度に検討した上述の水溶性の高い [11C]メチルマロン酸誘導体の小動物PETを用いた骨集積の検討を行う。その結果、高い骨集積と、バックグラウンドの放射能の低減が達成されれば、2022度に習得した骨スライス作成技術を用いて、オートラジオグラフィーと組織染色により[11C]メチルマロン酸誘導体の骨組織における局在を明らかにする。また、 [18F]フッ化ナトリウム投与時の放射能局在も比較検討し、従来の骨イメージングとの放射能局在の差異を明らかにする。
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