研究課題/領域番号 |
22K07816
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
阿部 裕 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (00789787)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Holoprosencephaly / 全前脳胞症 / Binder症候群 / Binderoid cleft lip / HPE / Binder 症候群 |
研究開始時の研究の概要 |
全前脳胞症(Holoprosencephaly: HPE )、HPE の軽症例で Normal end と考えられてきた Binder 症候群、Binderoid complete cleft lip /plate について、NGS assay による解析を行い、HPE スペクトラムの広がりを分子遺伝学的に明らかにし、表現型に多様性をもたらす修飾因子や胎児期早期の前脳の発生・発達に関与する因子を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
令和5年度は症例の収集を進めながら解析を継続した。対象症例は年齢・性別を問わず臨床症状として口唇顎口蓋裂・眼窩間距離の狭小化など、顔面正中部の低形成による顔貌異常を伴う症例とした。令和5年度までに新たに鶴岡市立荘内病院で1例の典型的なHPE症例(LOBAR型)と1例のBinderoid complete cleft lip/plate疑い例を同定した。対象症例は令和5年度末までに、宮城県立こども病院・八戸市立市民病院・鶴岡市立荘内病院から典型的なHPE症例3例、東北大学病院・鶴岡市立荘内病院からBinderoid complete cleft lip/plateとその疑い例18例となった。 その中のHPE症例3例 (ALOBAR型1例、SEMILOBAR型1例、LOBAR型1例)、Binderoid complete cleft lip/plate症例2例において、患者もしくは家族よりインフォー ムドコンセントを取得し、患者本人、および両親から採血を実施した。5症例に対してG-bandingを行い、いずれも正常核型であることを確認した。続いて既知の遺伝子変異の同定、及びHPEの発症に関わる主要なpathwayに含まれる遺伝子の変異を同定するため、Targeted NGS panelを実施した。148の候補遺伝子のエクソ ン領域、およびECR browserを用いて同定した非コーディング領域のevolutionarily conseved reigion (脊椎動物において種を超えて保存されている領域)を解析領域とした。以上を含めた全975,605bp対象領域とし、Hiseq2000を用いてシークエンスした。そのうち八戸市立市民病院で同定されたALOBAR型のHPE症例で既知の原因遺伝子SIX3にde novoのフレームシフトを同定した。残りの4症例について解析を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の遂行にあたっては、東北大学大学院医学系研究科倫理委員会の承認を得た(「研究課題:次世代シークエンサーを用いた網羅的解析による全前脳胞症の遺伝子解析研究」、受付番号: 2017-1-195)。症例収集については当院および関連病院に周知し、現在までに、典型的なHPE3症例、Binderoid cleftlip/plateを含む18例が同定された。その中のHPE症例3例(ALOBAR型1例、SEMILOBAR型1例、LOBAR型1例)、Binderoid complete cleft lip/plate症例2例において、患者もしくは家族よりインフォー ムドコンセントを取得し、患者本人、および両親から採血を実施した。5症例に対してG-bandingを行い、いずれも正常核型であることを確認し、148の候補遺伝子についてTargeted NGSを実施中である。当初の予定では令和4年度中に既知の遺伝子変異の同定、及びHPEの発症に関わる主要なpathwayに含まれる遺伝子の変異の同定までを想定していたが、現時点でそこまでは到達していない。本研究を遂行するにあたり、個々の症例に対する本研究参加へのインフォームドコンセントに十分な時間をあてているため、検体および臨床症状の収集に想定よりも時間を要している。今後も引き続き十分な説明を行い、インフォームドコンセントを得た上で研究を遂行する方針である。
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今後の研究の推進方策 |
収集した症例に対し、引き続き以下の順序で解析を進める。 (1) G-banding:13トリソミー・18トリソミー・三倍体など染色体の数の異常の検索のために行う。末梢血中の分裂中期(metaphase)の白血球のギムザ染色により染色体を観察する。状況に応じて、当院あるいは協力病院にて施行する。(2) CGHアレイ、MLPA(Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification):染色体の微小な欠失・重複、及びCopy Number Variantの検索のために行う。CGHアレイ解析はAgilent Technologiesの180K+SNP用の解析キットを用いて行う。 Microarray Scanner、サーマルサイクラーなどの機器は、東北大学病院小児科で所有しているものを使用する。(3) Targeted NGS assay:既知の遺伝子変異の同定、及びHPEの発症に関わる主要なpathwayに含まれる148遺伝子の変異を同定する。これらのエクソン領域 (コーディング領域、UTR)に加えて、ECRbrowserを用いて同定した非コーディング領域のevolutionarily conseved reigion(ECR:脊椎動物において種を超えて保存されている領域)を解析領域に含める。上記の解析 (G- banding、CGHアレイ、MLPA、Targeted NGS assay)で原因が同定されなかった症例についてはトリオ(発端者と両親)に対し全エクソームシークエンスを施行 し、 未知の遺伝子変異の同定を試みる。
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