研究課題/領域番号 |
22K07822
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
日下 隆 香川大学, 医学部, 教授 (50274288)
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研究分担者 |
三木 崇範 香川大学, 医学部, 教授 (30274294)
上野 正樹 香川大学, 医学部, 教授 (30322267)
中村 信嗣 香川大学, 医学部, 助教 (30437686)
光家 努 香川大学, 医学部附属病院, 技術職員 (30937967)
星 詳子 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 特任教授 (50332383)
森本 絢 香川大学, 医学部附属病院, 医員 (80813881)
中尾 泰浩 香川大学, 医学部附属病院, 医員 (80867721)
有岡 誠 香川大学, 医学部附属病院, 病院助教 (90851882)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 低酸素性虚血性脳症 / 脳浮腫 / 近赤外光 / 時間分解測定 / 新生仔豚 / 新生児 / 脳血液量 / 脳内Hb酸素飽和度 / 近赤光分光測定 / 近赤光時間分解分光測定 / 水 |
研究開始時の研究の概要 |
新生児医療領域においてHIEは脳障害の主な原因であり、大部分は仮死に続発し重症HIEは出生1,000 人に対して2~4人と推定されている。現在はその予後改善目的に軽度低体温療法(34度前後、72時間)を施行することが推奨されるが、その効果は限定的であり、経過中の脳浮腫が大きな予後不良因子となっている。このため本研究の目的は、新規6波長TRSを用いた脳水分量測定を行うため基礎的検討を行い、HIEにおける脳浮腫の経過と予後の関係を検討し、さらに脳浮腫軽減効果が期待される水素吸入の効果を検討する。
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研究実績の概要 |
【背景】低酸素性虚血性脳症(HIE)は、低体温療法を行っても、その約半数が予後不良のままある。更なる予後改善のためには、できるだけ早期の重症度診断及び、脳保護治療の開始が重要である。【目的】新生仔豚仮死モデルで、低酸素虚血(HI)負荷後30分間の脳血液量(CBV)値変化と病理組織学的脳障害の関係を明らかにする。 【対象と方法】生後24時間以内の新生仔豚を用いて、吸入酸素濃度(FiO2)を4%前後に減少させることでHI負荷を行った。負荷前から負荷後30分間まで、近赤外光時間分解分光装置(TRS)によるCBV・脳内Hb酸素飽和度(ScO2)を測定した。負荷後5日目に脳白質、灰白質、海馬、小脳の4部位の病理組織学的障害をスコア評価した。 【結果】HI負荷後0-6時間の予後別のCBV値変化を調べた。負荷後0分から負荷後5分、10分、15分、30分におけるCBV変化量と脳の病理組織学的スコアとの関係は、負荷後0分から10分、30分値は4部位全てで正の相関を認めた。またScO2、HR、MAPについても調べたが相関は認めなかった。【考察】HI負荷後30分におけるCBV値変化は,脳血流自動調節障害による脳血液のうっ血と考えられた。HI障害は、脳血流量(CBF)が維持される代償期と、それに続くCBFが維持不可能な非代償期に分けられる。代償期の蘇生では、脳障害が軽度で脳自動調節能が維持され、血圧やHRの上昇を認めてもCBFは安定し、CBV増加は少なく速やかに低下すると思われる。一方で、非代償期に至ってから蘇生した場合は、脳障害は重度で脳血流自動調節機能が低下し脳血管弛緩のため、負荷後の血圧やHR上昇の影響を受けCBFは上昇し、その結果CBVも上昇すると推察された。【結語】本研究では、HI負荷後30分以内のCBV変化量と脳の病理組織学的障害に正の相関があることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
低酸素性虚血性脳症の病態生理の理解のため、新生仔豚を利用し低酸素虚血動物モデルを構築し、脳血液量や脳内Hb酸素飽和度の測定を行い、特に脳血液量の変化で脳障害の予後予測が可能な事が理解出来た。今後、このモデルを中心に研究を継続している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、組織学的に脳浮腫の様子を観察し、それに伴う光学的パラメーターの変化を検証する。また低酸素虚血負荷後に水素吸入により脳浮腫軽減を行い、その変化が観察可能か検討を行う。
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