研究課題/領域番号 |
22K07835
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所) |
研究代表者 |
榎本 友美 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 研究員 (20506290)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Whole-Genome Mapping / 先天性疾患 / 複雑構造変異 / 未診断症例 / リピート変異 |
研究開始時の研究の概要 |
ゲノム構造の病的変化が先天性疾患の原因になることはよく知られている。しかしながら現在の主なゲノム解析技術(マイクロアレイやショートリードの次世代シーケンス解析)では複雑な構造変異やリピート変異の検出は難しく、ゲノム構造の新しい解析法が期待されている。Whole-Genome Mapping(例:Optical Mapping)はゲノム構造変異を高精度に検出できる新しい手法であり、本研究ではこの技術を用いて①未診断症例の解析を行い複雑構造異常やリピート変異を同定・診断につなげる。②既知構造異常に潜在する複雑構造異常を明らかにする。③機能解析を行い構造変異による疾患発症メカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
Whole-Genome Mapping (WGM)はゲノム構造変異を高精度に検出できる新しい手法であり、本研究ではこの技術を用いて先天性疾患患者の複雑構造異常の解析を行う。WGMは検出法の違いで技術的に2種類にわけられる。光学的手法を使用しているのがBionano Genomics社のSaphyr Systemであり(オプティカルゲノムマッピング)、電気的手法を使用しているのがNabsys社のHD-Mapping Systemである。WGMは米国では既によく知られた手法だが、国内ではまだほとんど行われていない。今年度はNabsys社のHD-Mapping Systemを使用し、1検体の解析を行った。G分染とCGHマイクロアレイを用いた解析で既に複雑な構造変異が確認されているがその詳細が不明な患者である。以下3点に注目して解析を行った。①既に確認されている転座が検出可能か、②転座の切断点に欠失や重複等があった場合検出可能か、③先行解析方法では検出できない潜在的な構造変異が検出可能か。①については2か所の転座については検出できたが1か所については今回のデフォルトの検出パラメータを使用した解析では検出されなかった。今後パラメータ等の検討が必要と思われる。②については切断点付近の欠失がいくつか検出されたが欠失のサイズがCGHアレイと大きく異なる場合もあり、現在原因を検討中である。ゲノムアセンブリの精度等も影響すると思われる。③については多くの構造変異が検出されたがfalse positiveも含まれると思われる。現時点ではHD-Mapping Systemのデータを視覚的に確認するviewer等のツールが国内で提供されておらず、false positive等の判定が難しい。今後そのようなツールも必要になると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
WGMは新しい技術であり米国では既によく知られた手法だが、国内ではまだほとんど行われていない。全く初めての解析になるため解析対象検体について慎重に検討を行った。検討の結果、これまでの解析(G分染、CGHマイクロアレイ)にて複雑な構造変異があることがわかっているが詳細が不明、かつこれまでの解析では検出できない構造変異が潜在している可能性もある患者の解析を行った。現行の解析では本患者のこれ以上の解析は難しくWGMでの解析結果が期待される。手法としては今年度はNabsys社のHD-Mapping Systemを使用した。実際にデータを解析し、現時点での解析の問題点や解析に必要なツール等がわかった。今後さらに詳細な解析を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はNabsys社のHD-Mapping Systemを使用し1検体の解析を行った。データ解析の結果、現時点での解析の問題点や解析に必要なツール等がわかった。今後さらに詳細な解析を進めていく予定である。また次の解析対象検体についても検討を行い、既に解析をスタートしたところである。
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