研究課題/領域番号 |
22K07836
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構長良医療センター(臨床研究部) |
研究代表者 |
舩戸 道徳 独立行政法人国立病院機構長良医療センター(臨床研究部), 長良医療センター臨床研究部, 再生医療研究室長/療養診療部長 (30420350)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 疾患特異的iPS細胞 / 薬剤応答性 / 試験管内疾患モデル / 疾患モデル / iPS細胞 / 創薬 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は、これまでの基盤研究(C)(H28-30)(H31-R3)によって、SMAの患者から疾患特異的iPS細胞を樹立し、その患者iPS細胞由来の神経細胞を用いて、試験管内でその病態を模倣し、各種薬剤の効果を確認することに成功した。さらに、背景の異なる多数のSMA患者のiPS細胞を樹立するとともに、ルフィナミドやラモトリギンがⅡ型やⅢ型、ビガバトリン塩酸塩がⅠ型の患者のSMN遺伝子の発現を上昇させることも見出した。本研究では、これらの研究成果をさらに発展させて、遺伝的背景や臨床的背景の異なる多数のSMA患者のiPS細胞由来の試験管内疾患モデルを用いて、薬剤応答性の個人差の要因を解明することが目的である。
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研究実績の概要 |
本研究では、遺伝的背景の異なる多数の脊髄性筋萎縮症(Spinal Muscular Atrophy, SMA)患者由来の疾患特異的人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell, iPS細胞)を用いて複数の試験管内疾患モデルを構築し、薬剤応答性の個人差の要因を解明することなどによって、SMAの標準的な治療法を開発することが目的である。現在までに、以下のことを行った。1)SMAの患者19名からエピゾーマルベクターによる初期化誘導6因子の遺伝子導入にて患者iPS細胞を樹立した。2)患者iPS細胞由来の神経系細胞では正常コントロールに比べて、SMN蛋白の減少、運動神経突起の伸長の低下、神経膠細胞数の増加、脊髄運動神経細胞の細胞死の増加、脊髄運動神経細胞数の減少が認められ、試験管内でSMAの病態を模倣することに成功した。3)甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン類似薬 (Tyrotoropinreleasing hormone analog, TRH)、抗酸化ストレス剤、臨床現場で抗てんかん薬として用いられているレベチラセタムについて薬効評価を行ったところ、TRHや抗酸化ストレス剤は患者iPS細胞由来の運動神経細胞の完全長のSMN蛋白を増加するだけでなく、神経突起の伸長にも寄与することを見出した。4)細胞死の観点からは、TRHには細胞死の抑制効果がないものの、抗酸化ストレス剤やレベチラセタムにはミトコンドリア機能の回復を介した神経保護作用があることなどを見出した。5)SMA病態では運動神経細胞だけでなく、星状膠細胞や希突起膠細胞も障害されていることを見出し、γ-セクレターゼ阻害剤がその病態を修復することを世界で初めて見出した6)抗てんかん薬のルフィナミドがⅡ型やⅢ型の患者iPS細胞由来の運動神経細胞の神経突起を伸長させることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画では、本研究期間内に以下のことを明らかにしようとしている。1)背景の異なる多数のSMA患者由来のiPS細胞を用いた試験管内疾患モデルの構築、2)薬剤応答性の個人差の確認と臨床試験における薬剤応答性との統計学的解析、3)SMAの薬剤応答性の個人差の解明、4)汎用性の高いSMAの標準的な治療法の開発 現在までに、遺伝的背景や臨床的背景の異なる計19名のSMA患者(病期分類0型0名、Ⅰ型5名、Ⅱ型9名、Ⅲ型5名、Ⅳ型0名)から線維芽細胞及びiPS細胞の樹立を行った。現在、樹立した患者iPS細胞が多分化能を有することや核型が正常であることを引き続き確認している。また、SMA患者の線維芽細胞を用いて、各種抗てんかん薬の完全長SMN遺伝子の転写活性を調べたところ、抗てんかん薬の一つがⅡ型やⅢ型の患者のSMN遺伝子の発現を上昇させることを見出した。その抗てんかん薬には患者iPS細胞由来の運動神経細胞の神経突起を伸長させる作用があることも確認した。さらに、最近では、実際の臨床現場で成人SMA患者6名にヌシネルセン髄注療法を実施し、その平均4年の長期治療成績について、薬剤応答性の個人差があることやその要因について論文発表した。以上から、おおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、薬剤応答性の個人差の確認と臨床試験における薬剤反応性との統計学的解析について、重点的に研究を進める。これまでに構築した多数のSMA患者の線維芽細胞に、多種類の抗てんかん薬(フェニトイン、フェノバルビタール、エトスクシミド、カルバマゼピン、クロナゼ パム、ガバペンチン、トピラマート、ラモトリギン、スチリペントールなど)を添加することによって、試験管内での薬剤の応答性の個人差を評価する。さらに、試験管内疾患モデルを用いて、SMN蛋白の発現レベル、運動神経の突起の長さ、運動神経の細胞死の割合などを評価する。次に、多数のSMA患者の試験管内疾患モデルによって判明した薬剤応答性の個人差が、実際の臨床試験の薬剤反応性と相関するかどうか、主に運動機能解析の評価を基にした臨床データとの統計学的解析により裏付けを行う。
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