研究課題/領域番号 |
22K07838
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
齋 秀二 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 客員研究員 (50737872)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ステロイド抵抗性白血病 / 11b-HSD / ステロイドホルモン抵抗性 / 小児急性リンパ性白血病 / 11β-HSD |
研究開始時の研究の概要 |
細胞内ステロイドホルモン代謝酵素11beta-hydroxysteroid dehydrogenase(11b-HSD)が、急性小児リンパ性白血病(ALL)のステロイド抵抗性の発症原因であると仮説を立て研究を進める。本研究では、①11b-HSDの遺伝子操作がステロイド感受性に影響を与えるか、②11b-HSDを調節する因子Xは何か、③11b-HSDを含むステロイド反応遺伝子群は治療経過中にどのように変化するか、の3点を調べステロイド抵抗性ALLの発症機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
小児急性リンパ性白血病(ALL)においてステロイドホルモン抵抗性は臨床的に重要な課題である。ステロイドホルモン抵抗性の詳細な機序は不明であるが、本研究により細胞内ステロイドホルモン代謝酵素が関与していることが示唆されている。 セルラインを用いた実験では、ステロイド感受性ALL(CCRF-CEM細胞)では細胞内ステロイドホルモン増強酵素11beta-hydroxysteroid dehydrogenase 1(11b-HSD1)の発現が高い。一方、ステロイド抵抗性ALL(Ball-1、MOLT4F細胞)では細胞内ステロイドホルモン減弱酵素である11b-HSD2の発現が高いことが示された。さらにステロイド抵抗性ALLにおいて11b-HSD2の発現をsiRNAでノックダウンすると、白血病細胞はステロイド感受性へと変化した。このことから11b-HSD2はステロイド抵抗性白血病の原因と考えられた。 セルラインだけでなく臨床検体を用いた研究も進めている。ステロイド感受性ALLでは、ステロイド治療前の検体では、セルラインと同様に11b-HSD1の発現が高い。一方、ステロイド抵抗性ALLでは、治療前の検体の11b-HSD2の発現が高いことを見出している。興味深いことに、ステロイドホルモン治療を開始すると、ステロイド感受性ALLの検体では、11b-HSD1の発現が治療経過とともに上昇し、ステロイド抵抗性ALLでは11b-HSD2の発現が上昇することを確認した。つまり、ステロイド感受性ALLでは11b-HSD1が治療開始によりスイッチオンされ、ステロイド抵抗性ALLでは11b-HSD2遺伝子がスイッチオンされることが示唆された。この11b-HSD1/2の発現変化は、ALLのステロイド感受性/抵抗性の治療バイオマーカーとなりうる。さらに11b-HSD1/2の遺伝子操作により効率的なステロイド治療の開発に寄与する可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
白血病セルラインだけでなく臨床検体においても実験計画が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
現在得られている実験計画を進めて、ステロイドホルモン感受性/抵抗性白血病の発症機序の解明を行う。RNA-seq/シングルセル解析を用いて、臨床検体における治療経過による遺伝子発現の変化を調べる。
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