研究課題/領域番号 |
22K07858
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
鏡 雅代 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 室長 (70399484)
|
研究分担者 |
関田 洋一 北里大学, 理学部, 准教授 (20431950)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | インプリンティング疾患 / DNAメチル化 / インプリンティング異常症 / インプリンティング |
研究開始時の研究の概要 |
インプリンティング遺伝子の発現は、メチル化可変領域 (DMR) により制御され、その発現異常はインプリンティング異常症 (ID) を引き起こす。本研究は、我々が集積したIDs症例のDNAを用いた変異解析などによりIDのエピ変異および疾患発症責任DMR以外のDMRのメチル化異常を示すmultilocus imprinting disturbanceに対する病態解明研究と、近接性標識法を用いて既知のDMRメチル化維持因子とともに働く新規タンパクを同定する基礎研究から構成される。
|
研究実績の概要 |
片親性発現するインプリンティング遺伝子の発現異常は、インプリンティング疾患 (ID) を引き起こす。インプリンティング遺伝子の発現は、インプリンティング領域内のメチル化可変領域 (DMR) により制御される。DMR のメチル化異常であるエピ変異はID を引き起こすが、その機序は不明である。また、エピ変異症例の一部には複数のDMR の脱メチル化を示すmultilocus imprintingdisturbance (MLID) 陽性例が存在するが、MLID原因遺伝子変異が同定されるのは少数である。本研究は、我々が集積しているIDs 症例の生体試料を用いた解析によりID のエピ変異およびMLIDに対する病態解明研究と、近接性標識法(Proximity labeling: PL) を用いて既知のDMR メチル化維持因子とともに働く新規タンパクを同定する基礎研究から構成される。病態解明研究では、MLID症例を同定し、これらの症例で、新しく同定されたDMRメチル化維持因子であるZNF445 および既知メチル化維持因子遺伝子変異を検索し、遺伝子変異を同定した場合は、遺伝子異常に体操するメチル化異常を示すDMRを検討し、その臨床像との関連を調べる。基礎研究では、DMR メチル化維持に必須のZFP57, ZNF445, KAP1 の近傍に存在するタンパクをPL にて抽出し、LC-MS/MS でスクリーニングし、これらのタンパクが片親性にDMR に結合するかを、母由来のみのゲノムに由来するマウスES細胞 (parthenogenesis ESCs) でのChIP 解析で確認し、DMRメチル化維持に関係する新規共役因子を同定する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
783名の様々なIDのエピ変異症例において、10か所のDMRに対する包括的にメチル化解析を行いDMRメチル化維持機構の破綻が予想されるMLIDを29症例を集積した。全例にトリオエクソーム解析を施行した。新規MLID原因遺伝子であるZNF445に加え、母に卵子のメチル化維持に必要なsubcortical maternal complex (SCMC)を構成するタンパクをコードする遺伝子であるNLRP2、PADI6などのに病的バリアントを認め、合計9例で既知原因遺伝子の病的バリアントを同定した。全例においてアレイを用いた網羅的メチル化解析を施行したが、低メチル化を示すDMRが多数を占めたが、共通して異常を示すDMRはなかった。詳細な臨床像の調査では、精神運動発達遅延を高頻度に合併し、Silver-Russell症候群やBeckwith-Widemann症候群といった特定のIDとしては非典型的な臨床像を示していた。これらの成果は論文化し、現在投稿中である。 PLを用いて既知のDMR メチル化維持因子とともに働く新規タンパク同定を目的とする研究では、2022年度、ZFP57、ZNF445、KAP1のcDNAとこれらのタンパクの近くにいるタンパクに対し近接性表示を行うTURBO-IDを搭載したコンストラクトを作成し、配列の確認を行った。2023年度は、ヒト由来細胞へのトランスフェクション、タンパク発現の確認を進めたが、タンパクの発現が弱く、細胞種の変更、トランスフェクション方法の検討などを進め、予定外に時間を要した。予定では、2023年度にトランスフェクションした細胞からPL法にてZFP57、ZNF445、KAP1近傍のタンパクを集め、LC-MS/MS法にてこれらの近傍のタンパク同定を試みる予定であったが、2024年度に持ち越しとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度早々に、ZFP57、ZNF445、KAP1近傍に存在するタンパクを同定するためのLC-MS/MSの受託解析への提出を行う。共発現していると考えられるタンパクを機能などから絞り込み、これらのタンパクをコードする遺伝子について、原因不明MLID症例のエクソームデータで病的バリアントがないか再解析を行う。同時に、ChIP解析にて、母由来のみのゲノムに由来するマウスES細胞 (parthenogenesis ESCs) でのChIP 解析でこれらのタンパクの結合部位を確認し、DMRメチル化維持に関係する新規共役因子かを評価する。
|