研究課題/領域番号 |
22K07865
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 尚人 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (50197159)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | サイトカイン / 自己免疫疾患 / 臍帯血 / ASQ-3 / 全身性自己免疫性疾患 / Th1細胞 / 樹状細胞 / 高サイトカイン血症 |
研究開始時の研究の概要 |
全身性自己免疫疾患を合併した女性の妊娠・出産が増える中、その新生児には種々の合併症が見られる。申請者はSLE,、シェーグレン症候群、関節リウマチ、全身性強皮症母体から出生した児の臍帯血で、非常な高サイトカイン血症が高頻度で見られることを初めて報告した。本研究では、症例の数を増やし全体像を把握するとともに、細胞分子学的に免疫学的病態を解析し原因の特定を目指す。さらに胎児高サイトカイン血症は神経学的予後に影響することが知られていることから、対象新生児の発達調査を行い臨床的な影響も明らかにする。この研究は自己免疫疾患と妊娠・胎児の免疫学的関係の解明という基礎的研究としても大変重要な課題と言える。
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研究実績の概要 |
本研究は全身性自己免疫疾患母体から出生した児に高頻度に高サイトカイン血症が見られることから、その高サイトカイン血症の頻度と臨床像の特徴の把握、高サイトカイン血症の原因と免疫学的病態の解明、高サイトカイン血症と神経学的予後との関係の調査を目的としている。研究参加者は東京大学と東京女子医科大学で出生した新生児で母体が全身性自己免疫疾患を合併している児とその比較対照児である。研究初年度において、すでに東京大学で対象30例、東京女子医大で6例リクルートすることができ、過去症例を合わせると全体で対象群59例、比較対照群34例を集積できた。これらの児において、臨床情報と臍帯血の血清サイトカイン17種類のプロファイル解析、フローサイトメトリーを用いた末梢血白血球の細胞分画の検討を行うことができた。初年度の解析で、全身性自己免疫性疾患を合併する母体から出生した児の臍帯血で、① 高値を示すサイトカインの種類が多い症例が約35-40%存在すること、② 高値のサイトカインの種類が多い群でサイトカイン値自体が高値となる傾向があること、③ Th1細胞の割合とNK細胞の数・割合が上昇していること、④ 樹状細胞の数と割合、好酸球、好塩基球の数が減少していること、⑤ 高値サイトカインの種類が多い群で入院を要する症例が多いことなどが明らかとなった。初年度の解析で得られた特徴について、学位論文として大学レポジトリに掲載できた。その後、雑誌論文投稿を目指している。また対象児および比較対照児において、精神運動発達を日本語版ASQ-3調査用紙を用いて検討した。それぞれ44例と22例に研究計画書を郵送し、当該年度にかけて、2/3程度の回答を得ることができた。この発達検査の結果を解析中で、初年度の結果ではASQ-3の結果とサイトカイン値に有意な関連を認めなかったが、最終的な結果解析後、論文報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度において東京大学で対象30例、東京女子医大で6例リクルートすることができ、過去症例と合わせると対象群として全体で59例、比較対照群として34例を集積することできた。その後の精神運動発達についても、それぞれ44例と22例に研究計画書を郵送し、2年目にかけて2/3程度の参加者から回答を得ることができた。全体として解析はほぼ終えており、現在、論文執筆中である。発達調査についても回答数が増えており、リクルートは概ね終了となる。発達検査についても論文化を目指しており、研究の進捗は概ね順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
研究参加者のリクルートはほぼ終えており、一旦この結果を論文化すべきと考えている。対象とした母体疾患は5種類あり、また母体自己抗体保有や母体への治療内容が児の予後に関わる可能性が推測され、今後も疾患ごとに更に情報を集積したり、長期予後との関連を経時的に追跡していく必要があると考えられるが、それはまた別の研究となると思われる。したがって、この3年目はこれまでに得られた結果の解析を元に論文化を目指し、その過程で必要なものがあればさらに追加して解析することになる。とにかく今年度はできれば、論文2報の報告を目指す。
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