研究課題/領域番号 |
22K07868
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
大谷 嘉典 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (30815973)
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研究分担者 |
古賀 浩平 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (50768455)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アンジェルマン症候群 / myelin / oligodendrocyte / OPC / axon initial segment / オリゴデンドロサイト / オリゴデンドロサイト前駆細胞 / Myelin / para-AIS / AIS / Angelman syndrome / node of Ranvier |
研究開始時の研究の概要 |
ヒト15番染色体内にはUBE3A遺伝子が含まれ、その母性欠失により、指定難病のアンジェルマン症候群(以下AS)を発症する。これまで、ASではニューロンの異常が発症の主原因と考えられてきたが、最近になりAS患者やASモデルマウスにおいて、ミエリン量の低下が報告され、ミエリン(オリゴデンドロサイト)の異常も病態に関わることが強く示唆されている。そこで本研究では、ミエリン量の低下を起点として、オリゴデンドロサイト特異的Ube3a遺伝子改変マウスを用い、「軸索起始部・パラ軸索起始部・ミエリン」の3つの構造の位置制御に、UBE3Aがどのように関与するかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
Ubiquitin Protein Ligase E3A(以下Ube3a)遺伝子は、その母性欠失により、重度な発達障害や自閉スペクトラム症様症状を呈するアンジェルマン症候群(Angelman syndrome: 指定難病201番) を発症する (Rotaru DC, Neuroscience 2020) 。 これまでの研究により、ニューロン特異的な母性由来 Ube3a 発現の変化が病態の原因となると考えられてきた。しかし、神経幹細胞特異的 Ube3a ノックアウト(以下 KO)マウスでは、母方Ube3a KOマウス(アンジェルマン症候群モデルマウス)の行動異常等の表現型を再現できるが、抑制性および興奮性のニューロン特異的 Ube3a KO マウスではその症状は比較的軽く、また両者の表現型を合わせても、完全には母方Ube3a KOマウスの表現型を再現しない(Judson MC, Neuron 2016)。このことは、アンジェルマン症候群の病態にグリア細胞の異常も関わっていることを示唆している。 現在まで、UBE3A full KOマウスを形態学的に解析し、軸索径の異常とミエリン径の異常があることを明らかとした。またこの現象が細胞自律的に起きているかどうかオリゴデンドロサイト前駆細胞を単離し、オリゴデンドロサイトへ分化させるとUBE3A KOマウスでオリゴデンドロサイトへの分化の異常が明らかとなった。 以上のことから、オリゴデンドロサイトの異常がアンジェルマン症候群で起こるミエリン形成の病態に関連することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オリゴデンドロサイト系譜細胞特異的なUBE3a欠損マウス(Ube3a flox; PDGFRa-Cre)の作成が終了し、現在このマウスを増やし、解析を行っている途中である。 このことから概ね順調に計画は進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
現在、新たに細胞特異的な異常を解析するために、ニューロンおよびオリゴデンドロサイト系譜細胞特異的なUBE3a欠損マウス(Ube3a flox::Rbp4-CreおよびUbe3a flox; PDGFRa-Cre)を作製し、それらマウスを解析に用いることで細胞特異的にUbe3aを欠損させることができ、このマウスを用いて、行動試験や形態学的な解析を行うことで、ニューロンの疾患と思われていたアンジェルマン症候群でグリア細胞もその病態に関与することを証明することを目指す。
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