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先天性サイトメガロウイルス感染症発症機序の解明と長期観察モデルマウスの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K07876
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

嶋田 和也  東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30439781)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード先天性サイトメガロウイルス感染症 / 先天性感染 / 胎内感染 / ヒトサイトメガロウイルス / 先天感染 / CMV
研究開始時の研究の概要

妊婦がサイトメガロウイルスに初感染すると、胎盤を経由して胎児にウイルスが移行し、胎児は神経発育遅延、小頭症、脳内石灰化、難聴など神経学的異常を呈する重篤な先天性サイトメガロウイルス感染症を発症する。しかしながら、サイトメガロウイルスが神経機能と脳の発達に与える影響は、ほとんど解明されていない。
サイトメガロウイルスの潜伏感染タンパク質ORF152が神経系細胞内Ca2+濃度を上昇させることを見出した。Ca2+は神経活動に多大な影響を及ぼすため、ORF152は、神経機能と脳の発達に影響を与えることが予想される。本研究は、先天性サイトメガロウルス感染症の発症機序を解明することを目的とする。

研究実績の概要

妊婦がサイトメガロウイルスに初感染すると、胎盤を経由して胎児にウイルスが移行し、胎児は神経発育遅延、小頭症、脳内石灰化、難聴など神経学的異常を呈する重篤な先天性サイトメガロウイルス感染症を発症する。しかしながら、サイトメガロウイルスが神経機能と脳の発達に与える影響は、ほとんど解明されていない。
サイトメガロウイルスを神経系細胞に感染させると潜伏感染関連タンパク質ORF152を発現し、神経系細胞内カルシウム濃度を上昇させる。ORF152は、カルシウムシグナル伝達を修飾することで、神経機能と脳の発達に影響を与えることが示唆されている。
生体内におけるORF152の病原性を検討するために、ORF152を発現するアデノウイルスを仔マウス脳に接種し、統合失調症の指標の一つである音驚愕プレパルス抑制試験(PPI)を行った。その結果、ORF152脳内接種仔マウスにおいて、PPIの低下が観察された。この結果は、先天性サイトメガロウイルス感染症の病態の解明につながるものであると考えられる。
さらに、神経系細胞にサイトメガロウイルスを感染させたときのウイルス遺伝子の発現を検討することで、潜伏感染状態を観察した。その結果、細胞種によって様々な発現様式を示すことが判明した。このことより、サイトメガロウイルスは、感染する神経系細胞内で様々な潜伏感染状態を形成することで、多様な病原性を発揮する可能性を示唆するものであった。
今後は、RNA-seqなどを検討することによって、ORF152の神経系細胞に与える影響について網羅的に検討をする予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

in vivoにおけるORF152の病原性を検討するために、ORF152を発現するアデノウイルスを仔マウス脳に接種し、統合失調症の指標の一つである音驚愕プレパルス抑制試験(PPI)を行った。その結果、ORF152脳内接種仔マウスにおいて、PPIの低下が観察された。ORF152を脳内で発現させた仔マウスにおいてPPIの低下が観察されたことから、先天性CMV感染症における神経学的異常は、ORF152が多大な影響を及ぼしている可能性が示唆された。これらの結果をふまえて、ORF152の病原性についてさらなる解析を行うために、長期発現する系を構築する予定である。
また、神経系細胞にサイトメガロウイルスを感染させたときのウイルス遺伝子の発現を検討することで、潜伏感染状態を観察した。その結果、細胞種によって様々な発現様式を示すことが判明した。このことより、生体内においては、ORF152が感染する細胞によって、様々な病原性を発揮する可能性があることを示唆するものであった。
今後は、RNA-seqを検討することによって、網羅的な影響について検討をする予定である。さらに、様々な感染細胞種によって、どのような違いが観察されるか、比較することによって、新たな知見が得られると予想され、さらなる病態の解明に寄与するものと考えられる。

今後の研究の推進方策

In vitroの実験系においては、神経系細胞内におけるサイトメガロウイルスの潜伏感染状態の詳細な解析を進める予定である。
また、ORF152を脳内で発現させた仔マウスにおいて音驚愕プレパルス抑制試験(PPI)の低下が観察されたことから、先天性CMV感染症の病態解明につながる可能性がある。さらなる病態の解明に向けて、どのような因子が病態に関係するのか、明らかにしていきたい。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Identification of a strong genetic risk factor for major depressive disorder in the human virome2024

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Nobuyuki、Shimada Kazuya、Ishii Azusa、Osaka Rui、Nishiyama Toshiko、Shigeta Masahiro、Yanagisawa Hiroyuki、Oka Naomi、Kondo Kazuhiro
    • 雑誌名

      iScience

      巻: 27 号: 3 ページ: 109203-109203

    • DOI

      10.1016/j.isci.2024.109203

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] SARS-CoV-2 S1 protein causes brain inflammation by reducing intracerebral acetylcholine production2023

    • 著者名/発表者名
      Oka Naomi、Shimada Kazuya、Ishii Azusa、Kobayashi Nobuyuki、Kondo Kazuhiro
    • 雑誌名

      iScience

      巻: 26 号: 6 ページ: 106954-106954

    • DOI

      10.1016/j.isci.2023.106954

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ヒトサイトメガロウイルス潜伏感染関連遺伝子産物ORF152は先天性感染において 神経病原性を惹起する2023

    • 著者名/発表者名
      嶋田 和也, 小林 伸行, 岡 直美, 石井 梓, 近藤 一博
    • 学会等名
      第70回日本ウイルス学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ORF152は先天性CMV感染症において神経病原性を誘導する2022

    • 著者名/発表者名
      嶋田和也, 小林伸行, 岡直美, 石井梓, 近藤一博
    • 学会等名
      第69回日本ウイルス学会学術総会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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