研究課題/領域番号 |
22K07885
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大森 晶奈 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 博士研究員 (10928782)
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研究分担者 |
片桐 千秋 北海道大学, 薬学研究院, 特任助教 (00443664)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 花粉症 / スギ花粉特異的IgE / 乳酸菌 / Foxp3 / ラクチル化 / I型アレルギー / IgE受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
日本はここ50年で衛生環境が改善した反面、アレルギー疾患が急増傾向にある。菌とのふれあいが少なくなった世の中もアレルギー発症の要因として考えられる。本研究では幼少期からの乳酸菌の摂取における、花粉症発症抑制効果の有効性を明らかにする。生後2週目のマウスに乳酸菌を連続投与し、オボアルブミン感作における花粉症誘導後、行動観察、血清中ヒスタミン量にて評価を行う。加えて、近年、乳酸がヒストンのラクチル化を誘導することが明らかとなった。本研究では花粉症モデルマウスから採取したT細胞のFOXP3発現におけるラクチル化の影響を解明する。
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研究実績の概要 |
今年度は、動物実験による乳酸菌Pediococcus sp. Aの花粉症発症の予防効果について検討を行なった。花粉症モデルマウスは、5週齢のBALB/cマウスに一次感作としてスギ花粉抗原Cry j 1とAl(OH)3を腹腔内投与し、二次感作としてCry j 1を8日間鼻腔に投与することで発症させた。二次感作3日目に尾採血を行い、スギ花粉特異的IgEの上昇を認めた。乳酸菌Pediococcus sp. Aの投与は一次感作を開始する1週間前から6回/週で行い、継続的に解剖日まで行なった。乳酸菌Pediococcus sp. A投与群では、血清中のスギ花粉特異的IgE及びヒスタミンの減少、IFN-γ及びIL-12の増加、くしゃみ、鼻掻き行動の回数の低下を認めた。加えて、乳酸菌Pediococcus sp. A投与群では脾臓重量の減少を認めた。また、脾臓におけるIgE受容体αのmRNA発現量の低下、制御系T細胞のマスター因子であるFoxp3のmRNA発現量は増加した。白血球数に有意な差はなかった。以上のことから、花粉症モデルマウスによる乳酸菌Pediococcus sp. Aの花粉症の症状の緩和と大まかな作用機序が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物実験は概ね順調に進み、乳酸菌Pediococcus sp. Aの花粉症発症の予防効果と大まかな作用機序は明らかになった。加えて、花粉症モデルマウスのPediococcus sp. A摂取によるFoxp3のmRNA発現量の増加が認められた。今後は、乳酸菌摂取による花粉症モデルマウスの腸管膜リンパ節におけるラクチル化部位の特定と乳酸菌摂取がラクチル化に与える影響を明らかにする。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、花粉症に特異的なサイトカインや遺伝子の発現量を定量し、より詳細な作用メカニズムを明らかにする。ラクチル化に関しては、①乳酸菌摂取による花粉症モデルマウスの腸管膜リンパ節におけるラクチル化部位の特定、②ヒストンのラクチル化により制御される転写因子の同定、③Foxp3の発現量の増加とヒストンのラクチル化の相関を明らかにする。以上により、花粉症への乳酸菌摂取における症状緩和効果と腸管膜リンパ節で起こるラクチル化の役割について考察する。
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