研究課題/領域番号 |
22K07894
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
杉田 光士郎 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (50781514)
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研究分担者 |
家入 里志 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (00363359)
大西 峻 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (10614638)
垣花 泰之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20264426)
矢野 圭輔 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (30757919)
新山 修平 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 准教授 (40258455)
政所 祐太郎 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (40794061)
加治 建 久留米大学, 医学部, 教授 (50315420)
上國料 千夏 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (50751278)
武藤 充 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (70404522)
一瀬 宏 東京工業大学, 生命理工学院, 教授 (90192492)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 壊死性腸炎 / テトラヒドロビオプテリン / ビオプテリン代謝産物 / 新生児外科疾患 / 芳香族モノアミン |
研究開始時の研究の概要 |
BH4は芳香族アミノ酸水酸化酵素の補酵素であり,BH4依存性に芳香族モノアミンの生合成を調節する。ドーパミンやセロトニンなどの芳香族モノアミンの欠乏は神経発達を悪化させることが示唆されている。一方で敗血症発症はBH4からBH2への酸化を促進し、BH4欠乏をもたらすと考えられおり、壊死性腸炎(NEC)などの新生児外科疾患と芳香族モノアミン代謝との病態生理の解明は神経学的予後の向上や新治療の開発につながる可能性がある。NECと芳香族モノアミン欠乏による神経学的関連性を明らかにし、代謝に関与しているBH4の体内動態を解明することで、BH4補充によるintact survivalの達成を目標とする。
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研究実績の概要 |
重要な新生児外科疾患であるNECの原因は未だ不明であり、予防法・治療法は確立されていない。生存率上昇しているにもかかわらず、神経学的予後は悪く、NECと中枢神経障害の関連を解明する必要がある。NECは内科的治療で軽快する病態から手術を要する症例まで幅広い病態をとるが、その病態の中心は腸管関連の敗血症である。進行性疾患であり、現状の治療では手術治療が不可能なほどの急速な転帰をとる場合もある。詳細な病態を把握するためには動物実験での検証しかないのが現状である。NECラットモデルの作成は実験手技が煩雑でモデルの確立に技術を要するが、重症NECモデルの作成は一定の成果が得られた。しかしながら重症モデルであるがゆえにNECのgradeが高いものと死亡するリスクが高く、評価が進まなかった。重症NECモデルは、炎症の波及や発症が早く、発症過程の詳細を調査することは困難であると判断した。NECは元来進行性疾患であるため、全身や腸管への障害の蓄積が経過の根底にある。そのため緩徐に進行するモデルへ変更すべきと考え、低酸素刺激やLPS刺激を調整している。現状予測に反して緩徐進行型のモデルの作成にも苦慮している。世界的に共通して使われているプロトコールを使用しているにも関わらず、NECモデルができず、動物環境が影響している可能性が考えられた。NECによって生じるであろう脳組織障害に関して、フェニルアラニンの異常蓄積やドーパミンやセロトニンなどの芳香族モノアミン代謝に焦点を当て病態生理を解明するという目的であるため、プロセスを評価可能な緩徐進行型のモデルを確立する必要がある。本研究の内容は、小児・成人患者問わず敗血症を発症する病態で高次脳機能障害を余儀なくされた患者に対しても応用が可能であると考えるため、今後も引き続き検討を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
重症NECモデルを作成しての評価を考えていたが、予測していたよりも重症度が高く、発症過程における組織障害の変化が評価できないことが判明した。そのため従来世界的に用いられている緩徐進行型のモデル作成へ予定を変更した。しかしながら同プロトコールで作成しているにもかかわらず、モデルが確立できていない。原因としては動物環境の違いが大きく考えられ、湿度が一つの要因であると考えるに至った。湿度の低い環境でモデルを作成するべきであると考え、低酸素刺激やLPS刺激の負荷も調整していく。また遅れている最大の理由はモデル作成に費やす時間と人材の不足もある。作成に1週間かかるため、その間は夜間も含め定期的に動物実験に費やす時間を確保しなければならず、継続した実験の障壁となっている。深夜帯の労務負荷がないモデルを作成することを目標としており、栄養間隔や刺激を調整することで達成できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
緩徐進行型NECモデルを作成し、病態を軽症、中等症、重症に振り分ける必要がある。そのためにモデル作成は出生後早期からではなく、母体と5日間の環境馴化を経てから低酸素刺激と人工乳、LPS刺激を行うプロトコールへ変更する。また刺激の量や湿度環境を整備する。モデルを確立した後、発症3日目、5日目、7日目の回腸と脳を採取する。病期別に結腸、組織中のビオプテリン代謝産物を測定し、推移を予測する。病理標本で各病期の神経細胞の損傷の有無や部位を網羅的に調査し、治療ターゲットを探る必要がある。
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