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カルシウム恒常性障害に着目した先天性大脳白質形成不全症の新規細胞病態の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K07900
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
研究機関国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

李 コウ  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 病態生化学研究部, 科研費研究員 (70621994)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード大脳白質形成不全症 / 小胞体カルシウム枯渇 / ミトコンドリア機能障害 / カルシウム恒常性 / 小胞体 / ミトコンドリア / Pelizaeus-Merzbacher病
研究開始時の研究の概要

Pelizaeus-Merzbacher病(PMD)は髄鞘膜蛋白質PLP1の変異により中枢神経系の髄鞘形成不全を呈する先天性大脳白質形成不全症の代表的な疾患である。我々は、変異体PLPはオリゴデンドロサイト細胞の小胞体Ca2+枯渇及びミトコンドリア膜電位低下を誘導する現象から、新たな病態モデルとして、過剰な小胞体ストレスによって、小胞体のCa2+恒常性維持が破綻し、ミトコンドリア・小胞体接触部位(MAM)を介して小胞体からミトコンドリアに過剰なCa2+が流入して、ミトコンドリア機能の破綻が起こるという新規病態仮説を提唱し、このモデルの検証とその細胞分子機序の解明を行う。

研究実績の概要

Pelizaeus-Merzbacher病は先天性大脳白質形成不全の代表的な疾患である。従来、変異体の髄鞘膜蛋白質PLP1は、過剰な小胞体ストレスによって細胞に起こるunfolded protein response(UPR)によりoligodendrocytes (OLs)細胞死を誘導するものと考えられて来た。しかし、細胞死シグナル経路を抑制してもモデル動物の症状を改善できないことから、他の細胞病態の介在が示唆されている。最近我々は、変異体PLPはUPRとミトコンドリア膜電位低下を誘導する現象から、過剰な小胞体ストレスによって、小胞体のCa2+恒常性維持が破綻し、ミトコンドリア・小胞体接触部位(MAM)を介して小胞体からミトコンドリアに過剰なCa2+が流入して、ミトコンドリア機能の破綻が起こるという新規病態仮説を提唱し、このモデルの検証と細胞分子機序の解明を行う。
本研究の計画は以下の3項目について、順次解析を進めていく。①変異体PLP1のOLsにおける小胞体Ca2+の恒常性障害の検証。②変異体PLP1による、ミトコンドリアの機能障害及びCa2+恒常性障害の検証。③小胞体に蓄積した変異体PLP1がMAMを介しミトコンドリアの機能障害を引き起こす分子メカニズムの解明。
変異体PLP1は細胞小胞体のCa2+枯渇を誘導することを確認した後、本年度は主に②と③について検証した。HeLa細胞にミトコンドリアのCa2+インジケーター(G-CEPIAmt)発現ベクターと変異体PLP1を共発現し、オルガネラCa2+動態シグナルを蛍光強度で評価した。その結果、変異体PLP1によるミトコンドリアにCa2+の過剰流入を確認した。更に、ミトコンドリアの好気呼吸機能と無酸素性解糖機能をFlux Analyzerで解析したところ、変異体PLP1はミトコンドリアの機能障害を引き起こることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は計画通り研究を順調に進んでいる。既に変異体PLP1による細胞小胞体、ミトコンドリアのCa2+恒常性障害及びミトコンドリアの機能障害を引き起こすことを確認した。

今後の研究の推進方策

今後は変異体PLP1によるミトコンドリアのCa2+恒常性障害及び機能障害の有無をマウスのoligodendrocytes不死化細胞株Oli-neu細胞で確認する。
その後、小胞体に蓄積した変異体PLP1がMAMを介しミトコンドリアの機能障害を引き起こす分子メカニズムを解明する。小胞体・ミトコンドリアの間のCa2+の受け渡しは、MAMにおけるCa2+チャンネルIP3R / GRP75 / VDAC複合体を介して行われる。MAMの構造的な変化及びIP3R / GRP75 / VDAC複合体の機能を調べるため、電子顕微鏡を用いて、ミトコンドリア、小胞体、MAMの微細構造を観察する。また、IP3R / GRP75 / VDAC複合体の相互作用をWestern Blotting、免疫沈降、Proximity Ligation Assay (PLA)実験で調べる。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Abnormality in GABAergic postsynaptic transmission associated with anxiety in Bronx waltzer mice with an Srrm4 mutation2024

    • 著者名/発表者名
      Shirakawa Yuka, Li Heng, Inoue Yuki, Izumi Hitomi, Kaga Yoshimi, Goto Yu-ichi, Inoue Ken, Inagaki Masumi
    • 雑誌名

      IBRO Neuroscience Reports

      巻: 16 ページ: 67-77

    • DOI

      10.1016/j.ibneur.2023.12.005

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Mitochondrial dysfunction via calcium homeostasis disruption as a cellular pathogenesis of Pelizaeus-Merzbacher Disease2023

    • 著者名/発表者名
      Heng Li, Reiko Mishima, Ken Inoue
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Globally impaired ER-Golgi trafficking via ER calcium depletion as a cellular pathogenesis of Pelizaeus-Merzbacher Disease2022

    • 著者名/発表者名
      Heng Li, Reiko Mishima, Yu-ichi Goto, Ken Inoue
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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