研究課題/領域番号 |
22K07903
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所) |
研究代表者 |
後藤 裕明 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 医務監 (90347295)
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研究分担者 |
宮城 洋平 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), 臨床研究所, 所長 (00254194)
北河 徳彦 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 医長 (00585135)
柳町 昌克 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 部長 (00608911)
大津 敬 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 副技官・主任研究員 (10270696)
田中 祐吉 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 医師 (50420691)
成戸 卓也 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 主任研究員 (60438124)
田中 水緒 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 部長 (60565232)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 悪性ラブドイド腫瘍 / 患者由来疾患モデル / 3次元培養 / トランスクリプトーム解析 / 薬剤感受性 |
研究開始時の研究の概要 |
患者由来疾患モデルから得られた悪性ラブドイド腫瘍検体を利用し、3次元培養法による薬剤感受性試験(3D-DST)およびトランスクリプトーム解析を行う。3D-DSTによる薬剤スクリーニングによって、3次元環境にある腫瘍細胞の増殖を抑制するシグナル阻害剤を選定し、トランスクリプトーム解析の結果と照合して、腫瘍増殖ドライバーとなる細胞内シグナルを同定する。トランスクリプトームのInteractome解析により腫瘍増殖シグナルに対する腫瘍―間質細胞相互作用の役割を明らかにする。これらの研究により、独自に開発した3D-DST法を活用しながら、MRTの病態解明と新たな治療法開発を目指す。
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研究実績の概要 |
患者由来疾患モデルおよび3次元培養法によるin vitro薬剤感受性試験を活用し、悪性ラブドイド腫瘍における新規治療標的を探索することが本研究の目的である。本研究期間において4種類の悪性ラブドイド腫瘍を超免疫不全マウスに皮下移植し、cell line-derived xenograft (CDX)を作成した。CDX由来の腫瘍検体を用いて、研究者らが開発したshort term 3D culture-based drug sensitivity testを実施し、MAPKシグナリング経路を含む複数の分子シグナルがin vivoにおける悪性ラブドイド腫瘍の生存および増殖に関わっている可能性を示唆する結果を得た。in vitro薬剤感受性試験の結果がin vivoでの腫瘍病態を実際に反映しているかを検証するために、CDX腫瘍におけるトランスクリプトーム解析を実施し、現在、その結果解析を実施している。また、それぞれの分子シグナル阻害剤に対する感受性はCDX間で異なっており、感受性の差を説明しうる分子学的背景を検討している。特にある分子シグナル(X)は、他の研究者からの既報からも、悪性ラブドイド腫瘍における治療標的として有望と考えられるが、今回使用しているCDX間で阻害薬への感受性の差が大きく、その理由を遺伝子発現およびタンパク発現の違いから説明できるか検討している。Xシグナル阻害薬への耐性を示す悪性ラブドイド腫瘍に対する、他の治療標的候補がin vitro薬剤感受性試験の結果から示唆されており、最終年度においてこれらを総括し、報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、悪性ラブドイド腫瘍の患者由来疾患モデルを作成し、そのモデルから得られた腫瘍検体のin vitro薬剤感受性試験およびトランスクリプトーム解析により、悪性ラブドイド腫瘍における新規治療標的を探索することを目的としていた。3年の研究期間のうち、2年以内に4系列のcell line-derived xenograft(CDX)作成に成功し、CDX由来腫瘍の病理学的検討、in vitro薬剤感受性試験、トランスクリプトーム解析を実施することができた。さらに、これらの結果を統合解析することにより、悪性ラブドイド腫瘍に対する有望な治療標的を見出すことができた。CDX間で、有望と考える治療標的を阻害する薬剤への感受性に差がみられ、その原因を説明しうる分子生物学的背景を、トランスクリプトーム解析および全エクソン解析の結果から見出している。これらの成果から、本研究は当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今回得られた結果は、悪性ラブドイド腫瘍細胞株を用いて以前、研究者らが実施したin vitro薬剤感受性試験の結果とは一部異なっていた。結果が異なる原因として①今回はin vivoで増殖させた腫瘍を用いていること、②今回は3次元培養法によるin vitro薬剤感受性試験を用いていること、が考えられるため、細胞増殖環境の差がどのように遺伝子発現に変化を与えるのか解析を行っている。また、旧年度までに見いだされた悪性ラブドイド腫瘍に対する新規治療薬候補がin vivoにおいても効果を示すか、動物実験によって確認する準備を進めている。最終年度中に、これらの結果も併せて公表すべく準備を進める。
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