研究課題/領域番号 |
22K07913
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
粟野 宏之 鳥取大学, 研究推進機構, 教授 (30437470)
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研究分担者 |
青井 貴之 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (00546997)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Duchenne型筋ジストロフィー / 心筋細胞 / αアクチニン3 / タイチン / iPS細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
心筋障害はデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者の致死性の合併症である。私達は、αアクチニン3という筋の構造蛋白を欠損する患者が早期に心筋障害を発症する事を明らかにした。タイチンも筋の構造蛋白であり、αアクチニン3と結合している。心筋症患者でタイチン分解が亢進する事から、αアクチニン3欠損がタイチン分解を促進させ、心筋障害を引き起こすと考えた。本研究では、αアクチニン3欠損と非欠損DMD患者由来のiPS細胞を作製し、心筋細胞を樹立する。そしてαアクチニン3欠損DMD患者の心筋細胞では、タイチン分解が亢進していることを明らかにし、αアクチニン3欠損がDMDの心筋障害の増悪因子である事を示す
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研究実績の概要 |
本年度は末梢単核球由来細胞からiPS細胞を樹立、iPS細胞の心筋細胞への分化について実験を行った。 初めに、iPS細胞樹立から心筋分化のプロトコールの決定のため、健常人サンプルを用いて実験を行った。健常人の末梢血単核球に、センダイウイルスベクターを用いて4因子(Klf-4, Oct3/4, Sox2, C-myc)を導入し培養を行った。マーカー遺伝子の発現の確認を行い、iPS細胞を樹立できることを確認した。次に、樹立したiPS細胞から心筋細胞へ分化の検討を行った。当初は、心筋の成熟マーカーの発現が弱い心筋細胞のみ得られ、成熟度が高い心筋細胞を得ることが困難であった。また、結合組織や血管細胞と思われる心筋以外の細胞も発生する問題があった。そのため、培地の選択、培養液の組成や培養条件の組み合わせについて何度も検討を行ったところ、成熟マーカーの発現があり、拍動が確認される成熟心筋細胞を得れた。これによりiPS細胞から心筋細胞への分化プロトコールの決定ができた。 次に、Duchenne型筋ジストロフィーの患者3名から末梢血を採取した。3名の内訳は、αアクチニン3欠損患者が1名、非欠損患者が2名である。このうち、αアクチニン3非欠損患者1名においてiPS細胞のマーカー遺伝子の発現や三胚葉分化について評価が終了し、iPS細胞を樹立している。もう一人の非欠損患者については、マーカーや分化の確認を行っている。欠損患者は現在細胞の培養中である。iPS細胞を樹立した患者では、決定した分化プロトコールを用い心筋細胞に分化を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
iPS細胞から心筋細胞への分化の検討において、当初は成熟度が高い心筋細胞を得ることが困難であった。また心筋細胞に加え、心筋以外の細胞も発生することが問題であった。このような成熟度と精製の問題について、培地や培養液の選択、培養条件の調整をおこない。現在までに心筋分化のプロトコールを決定した。 プロトコール決定に時間を要したため、患者iPS細胞由来心筋細胞作成が現在1名のみであるが、今後は決定したプロトコールをもとに心筋細胞の作成を進め、αアクチニン3欠損と非欠損の細胞の比較評価を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
作成した心筋細胞の形態的、機能的な評価方法の経験が少ないため、経験のある研究者にアドバイスや協力をもとめ進める。申請者は、研究期間中に所属機関を異動したことから、元の所属機関および新しい所属機関の二つの研究機関でのコラボレーションが見込める。
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