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DNM1L変異を有する神経細胞におけるミトコンドリア機能および細胞活動電位の評価

研究課題

研究課題/領域番号 22K07926
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
研究機関埼玉医科大学

研究代表者

松本 浩  埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (00536229)

研究分担者 大澤 郁朗  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (30343586)
鈴木 郁郎  東北工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (90516311)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードDNM1L / ATP産生 / 神経細胞 / 細胞外フラックスアナライザー / ミトファジー / iPS細胞 / ミトコンドリア / 活動電位
研究開始時の研究の概要

Dynamin 1-like (DNM1L)は、細胞内のミトコンドリア分裂を制御するDRP1をコードする核遺伝子です。2007年にDNM1L遺伝子変異による重症の乳児神経疾患が、ヒトにおける疾患として初めて報告されました。DNM1Lのミスセンス変異は、線維芽細胞などでミトコンドリア分裂を阻害することが報告されていますが、神経細胞においてどのような影響を及ぼすかは明らかとなっていません。今回の研究では、DNM1L変異を有する患者由来iPS細胞から神経細胞へ分化させ、神経細胞におけるミトコンドリア機能を多方面から評価する予定です。

研究実績の概要

Dynamin 1-like (DNM1L)は、細胞内のミトコンドリア分裂を制御するDRP1をコードする核遺伝子である。この遺伝子のヘテロ接合性変異により、ヒトにおいて重度の中枢神経症状を呈することが報告されている。私たちが経験した症例においても、乳児期に重度のてんかん性脳症を伴うLeigh症候群を生じ、不幸な転帰をとった(Clin Genet 2016)。ミコトンドリア分裂の異常により生じる、重篤な中枢神経障害の機序について、患者由来iPS細胞を用いて明らかにすることを目的として一連の研究を行った。
これまでの研究では、iPS細胞から神経細胞へ分化誘導を行い、神経細胞においてミトコンドリアのATP産生能の評価(細胞外フラックスアナライザー)を行った。患者由来の神経細胞では、コントロール細胞に比べて酸素消費速度の低下を認め、細胞におけるATP産生能が低下していることが示唆された。またこれとは別に、ATP濃度依存性に蛍光を示す色素染色によるATP産生能の評価を行ったが、これについては患者由来細胞とコントロール細胞で有意な差は認められなかった。
ミトコンドリアは細胞内で品質管理を受けており、酸化ストレスなどにより機能障害を生じたミトコンドリアは、ミトファジーと呼ばれる細胞内消化によりリサイクルされると考えられている。この現象を蛍光顕微鏡下で観察したところ、患者由来細胞においてはミトファジーの低下が生じていることが観察された。
以上の結果から、患者由来神経細胞ではミトコンドリアの機能や品質管理に障害が生じており、その結果として神経細胞の機能維持に問題が生じることが予想された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

神経細胞におけるミトコンドリア機能について、酸素消費速度、ATP産生能、ミトファジーおよび細胞活動電位など多面的に評価することを計画していた。2022年12月に研究代表者の異動があり、新しい環境において研究を進めるためのセットアップ、研究チームの編成などに時間を要している。これまでのデータのまとめを行い、学会・論文発表に向けて準備を進めていく。

今後の研究の推進方策

神経細胞における損傷ミトコンドリアのミトファジーの評価、ならびに微小電極アレイを用いた神経細胞の活動電位の評価を行うため、計画および予備実験を行っている。ミトファジーの評価については、mitophagy dyeを用いたコントロールおよび疾患由来細胞の差を蛍光顕微鏡による観察で評価しているが、定常状態ではミトファジーの差を見いだすことが難しい。脱共役剤などの化合物による細胞負荷を与えミトファジーを誘導するなどの手法を試みており、疾患由来細胞におけるミトファジーの低下を証明しつつある。
神経細胞の活動電位については、CytoView MEA24, Maestro Edge (AXION Biosystems)のシステムを用いて、神経活動電位および神経細胞間の同期発火の測定を試みている。定常状態でのコントロール、疾患由来細胞での測定を行うと共に、細胞負荷を与えた状態で比較することで、疾患由来細胞における細胞機能低下を証明する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (10件)

  • [雑誌論文] Prediction and assessment of acute encephalopathy syndromes immediately after febrile status epilepticus2023

    • 著者名/発表者名
      Uematsu Kenji、Matsumoto Hiroshi、Zaha Kiyotaka、Mizuguchi Masashi、Nonoyama Shigeaki
    • 雑誌名

      Brain and Development

      巻: 45 号: 2 ページ: 93-101

    • DOI

      10.1016/j.braindev.2022.10.004

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Haemophilus influenzae type fによる細菌性髄膜炎を発症した10か月男児の1例2024

    • 著者名/発表者名
      藤田 祐也, 森谷 邦彦, 北澤 泰地, 馬渕 春菜, 鈴木 秀一 , 藤倉 雄二, 松本 浩, 今井 耕輔
    • 学会等名
      第127回日本小児科学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 小児視神経炎の5例2023

    • 著者名/発表者名
      寺西宏美、平井 純、渡邊諒子、大滝里美、浦丸知子、野々宮瑞紀、遠藤琢也、飛田和えりか、颯佐かおり、古賀健史、松本 浩、山内秀雄、秋岡祐子
    • 学会等名
      第194回日本小児科学会埼玉地方会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 若年型神経セロイドリポフスチン症(NCL3)によるてんかんにおける脳波および抗てんかん薬治療について2023

    • 著者名/発表者名
      寺西宏美、大滝里美、颯佐かおり、松本浩、竹下絵里、山内秀雄
    • 学会等名
      第56回日本てんかん学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 遺伝子変異を認めた新生児けいれん10例の検討2023

    • 著者名/発表者名
      大滝里美、颯佐かおり、寺西宏美、櫻井隼人、筧紘子、國方徹也、石井敦士、加藤光広、松本浩、山内秀雄
    • 学会等名
      第56回日本てんかん学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Three patients with classical lissencephaly and PAFAH1B1 deletion2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Matsumoto, Hirose Fumi, Hajime Wakamatsu, Eri Takeshita, Mitsuhiro Kato, Mitsuko Nakashima, Hirotomo Saitsu, Shigeaki Nonoyama
    • 学会等名
      第68回日本人類遺伝学会・Human Genetics Asia2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] COVID-19オミクロン株による小児熱性けいれん患者の臨床的特徴2023

    • 著者名/発表者名
      馬渕 春菜, 松本浩, 朝比奈優希, 桒原殿, 小倉弘嗣, 萩原秀俊, 鈴木秀一, 浅野貴子, 今井耕輔
    • 学会等名
      第126回日本小児科学会総会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 軽度の精神運動発達遅滞と大脳髄鞘化の遅延を示したidic(18)(q21)モザイクの1例2022

    • 著者名/発表者名
      髙根透 松本浩、浅野貴子、鈴木秀一、橋本悠、馬渕春菜、今井耕輔
    • 学会等名
      第189回日本小児科学会埼玉地方会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] マイクロアレイ染色体検査によりPotocki-Lupski症候群と診断した1例2022

    • 著者名/発表者名
      小倉弘嗣、松本浩、桒原殿、馬渕春菜、仁紙千尋、鈴木秀一、浅野貴子、今井耕輔
    • 学会等名
      第189回日本小児科学会埼玉地方会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] けいれん重積型急性脳症を発症したSchaaf-Yang症候群の1例2022

    • 著者名/発表者名
      仁紙千尋, 西村直人, 松本浩, 植松 賢司, 二川 弘司, 櫻井淑男, 野々山恵章
    • 学会等名
      第64回日本小児神経学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 先天性難聴の児にみられた肺炎球菌性髄膜炎の1例2022

    • 著者名/発表者名
      永井悠太、松本浩、星野柚紀、仁紙千尋、鈴木秀一、浅野貴子、西野桂佑、栗岡隆臣、見越綾子、野々山恵章
    • 学会等名
      第187回日本小児科学会埼玉地方会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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