研究課題/領域番号 |
22K07934
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
高野 亨子 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (70392420)
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研究分担者 |
涌井 敬子 信州大学, 学術研究院医学系, 講師 (50324249)
古庄 知己 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (90276311)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 神経発達症 / ヒストンリジンメチル化 / 知的発達症 / 次世代シークエンス解析 / マイクロアレイ染色体検査 |
研究開始時の研究の概要 |
知的発達症(intellectual disability: ID)をはじめとした神経発達症は、発達期に発症する神経疾患の総称でその発症には遺伝要因が深く関わっている。ヒストンリジンメチル化関連遺伝子変異は神経発達症の原因として知られている。 本研究では、ヒストンリジンメチル化関連遺伝子変異の神経発達症における頻度を明らかにすると共に新たな疾患関連遺伝子の探索を行う。また、ヒストンリジンメチル化関連遺伝子の1つであるKMT5B遺伝子の変異によるエピジェネティックな変化が神経発達症発症に及ぼす影響を明らかにし、将来的に治療法の開発に結び付けることを目的とする。
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研究実績の概要 |
知的発達症(intellectual disability: ID)をはじめとした神経発達症は、発達期に発症する神経疾患の総称でその発症には遺伝要因が深く関わっている。ヒストンリジンメチル化関連遺伝子変異は神経発達症の原因として重要であることが知られている。 本研究では、ヒストンリジンメチル化関連遺伝子変異の神経発達症における頻度を明らかにすると共に新たな疾患関連遺伝子の探索を行う。また、神経発達症の原因遺伝子として知られている、KMT5B遺伝子にエピジェネティックに発現制御されている下流遺伝子を探索する。ヒストンリジンメチル化関連遺伝子の神経発達症発症における機序を解明し、将来的に治療法の開発に結び付けることを目的とする。 今年度は当センターに登録された神経発達症患者についてヒストンリジンメチル化関連遺伝子の病的変異およびゲノムコピー数変化の陽性率を明らかにするするため、遺伝子カスタムパネルを用いた次世代シークエンサー解析およびマイクロアレイ染色体検査を行った。 2022年度は新たな24名(男性19名、女性5名)の研究参加同意が得られた。全例が境界域~重度のIDを呈し、主な症状はID/発達遅滞10名、てんかん10名、自閉スペクトラム症4名であった。24名中ヒストンリジンメチル化関連遺伝子変異が同定された患者は1名(EHMT1遺伝子)であった。2014年4月から2023年3月の間の研究参加者計281名中(未解析例あり)、123名(43.8%)において遺伝学的確定診断に至った。123名中のうち12名(10%)にヒストンリジンメチル化関連遺伝子変異が同定され、神経発達症の原因として比較的多いことが示唆された。また、臨床医(小児科、児童精神科)および基礎研究者で構成された症例検討会はメールで情報交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の予定は以下であった。(1)ヒストンリジンメチル化関連遺伝子解析、(2)KMT5B下流遺伝子の探索、(3)研究成果の報告、(4)症例検討会の開催 (1)に関しては知的発達症関連遺伝子カスタムパネル解析およびマイクロアレイ染色体検査は順調に進んでおり、登録患者で遺伝学的確定診断に至った123名中、12名(10%)においてヒストンリジンメチル化関連遺伝子変異が同定され神経発達症の原因として重要であることが示唆された。しかし、ヒストンリジンメチル化関連遺伝子パネル解析を用いた新たな候補遺伝子の探索は、解析対象患者の抽出に時間がかかり今年度は着手出来なかった。(2)KMT5B遺伝子変異患者リンパ芽球を用いたRNA-Seq解析の準備に終わり、解析に着手出来なかった。(3)今年度は本研究に関する学会での報告は出来なかった。(4)対面で開催はできなかったが、メールで情報交換を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に引き続き(1)ヒストンリジンメチル化関連遺伝子解析、(2)KMT5B下流遺伝子の探索、(3)研究成果の報告、(4)症例検討会の開催を目標とする。 (1)に関しては新たな登録患者にマイクロアレイ染色体検査と知的発達症関連遺伝子カスタムパネル解析を継続する。また、既登録および新規登録患者より患者を抽出し(20名の予定)、ヒストンリジンメチル化関連遺伝子パネル解析を行い、新たな神経発達症の原因となるヒストンリジンメチル化関連遺伝子を探索する。(2)KMT5B遺伝子変異患者リンパ芽球を用いたRNA-Seq解析の準備をしている段階で、7名の同遺伝子変異患者リンパ芽球を用いたRNA-Seq解析の研究成果が報告された(Sheppard et al. Sci Adv. 2023)。KMT5Bのハプロ不全が軸索ガイダンスシグナルやGP6シグナルパスウェイに関与することが報告された。そのため当初予定していた(2)は変更予定である。(3)積極的に学会発表および論文執筆を行なう。(4)共同研究をすすめていくために臨床医(小児科、児童精神科)および基礎研究者で構成された症例検討会を開催する。
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