研究課題/領域番号 |
22K07943
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
三嶋 竜弥 杏林大学, 医学部, 准教授 (40317095)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 熱性けいれん / シンタキシン1 / アストロサイト / 抑制性シナプス伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトにおいて、シンタキシン1B(STX1B)遺伝子のハプロ不全が熱性けいれん・てんかん症候群の原因であることが報告されたが、発症の仕組み及びその分子機序は不明である。STX1Bは神経細胞とアストロサイトで機能し、アストロサイトではGABAの再取り込みや神経栄養因子の分泌を制御する。本研究では、STX1B遺伝子改変マウスを動物モデルとして用い、アストロサイトにおけるSTX1Bの生理機能が、抑制性シナプス伝達機能や神経の生存・発達に及ぼす影響を明らかにする。本研究により、アストロサイトにおけるSTX1Bの機能とけいれん発症との関係が解明できれば、新たな治療法や創薬へつながることが期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究では、近年ヒトにおいて、熱性けいれん・てんかん症候群の原因となることが報告されたシンタキシン1B(STX1B)遺伝子による、けいれん発症の仕組み及びその分子機序の解明を目的とする。STX1Bは神経細胞とアストロサイトで機能しており、特にアストロサイトではGABAの再取り込みや神経栄養因子の分泌を制御しいる。このため、アストロサイトの機能不全がけいれん発症に関与している可能性が考えられる。本研究では、STX1B遺伝子改変マウスを動物モデルとして用い、アストロサイトにおけるSTX1Bの生理機能が、抑制性シナプス伝達機能や神経の生存・発達に及ぼす影響を明らかにする。本研究により、アストロサイトにおけるSTX1Bの機能とけいれん発症との関係が解明できれば、新たな治療法や創薬へつながることが期待できる。 そこで本年度は、シナプス伝達の機能異常を改善する手法として、パルス超音波を用いたニューロモデュレーション作用の検証を行った。その結果、海馬神経細胞とアストロサイトの混合培養系において神経ネットワークにパルス波刺激を反復して加えると、自発的な再帰性バースト発火が持続的に抑制されることがわかった。この抑制効果はシナプス内に分布するGABA(A)受容体ではなく、シナプス周辺に位置するシナプス外GABA(A)受容体に依存しており、加えてアストロサイトのない条件下では効果は消失した。アストロサイトに発現するTRPA1チャネルを薬理学的に活性化すると、シナプス周囲の細胞外GABAによって誘導される緊張性GABAA電流を増加させることにより、超音波の効果を模倣することがわかった。これらの知見から、繰り返しパルス波低強度超音波刺激は、神経機能に直接作用するのではなく、アストロサイトに発現するTRPA1の特性を持つチャネルを介してシナプス周囲のGABA濃度を調節することにより、神経活動を持続的に調節する効果を発揮することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はシンタキシン1B遺伝子欠損マウスのアストロサイトの機能異常によって生じる抑制性シナプス伝達機能の低下を改善する手法として、パルス超音波を用いたニューロモデュレーション作用の有用性を確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
アストロサイトに発現するシンタキシン1Bの欠損が抑制性シナプス伝達の発達の遅延を引き起こすことを確認した。これに加え、シンタキシン1Bヘテロ欠損マウスの神経回路では高体温時にシナプス間隙のGABA濃度の減少により興奮/抑制のバランスが崩れることを確認している。これらの神経機能の異常によりシンタキシン1Bヘテロ欠損マウスのけいれん感受性が上昇すると考えられる。 本年度は、けいれん感受性の低下につながる非侵襲的な脳刺激法の開発のために、パルス超音波を用いた非侵襲的な神経刺激が神経ネットワーク活動に及ぼす効果を解析した。その結果、パルス状にした超音波を繰り返し与えることによって過興奮した神経活動を抑制できることを見出した。この抑制効果はアストロサイトに依存的に生じるが、その分子・細胞機序は不明な点が多い。 そこで、次年次の研究計画として、超音波ニューロモデュレーション作用の分子・細胞機序の解明を行う。パルス超音波のパラメーターとニューロモデュレーション作用の関係を解析することで、神経活動を抑制する刺激パターンの最適化を行う。また、パルス超音波が神経活動に作用するにはアストロサイトを必要とするため、アストロサイトにおけるパルス超音波の受容に関わる機械刺激受容体の同定を行うと共に、神経細胞とアストロサイトにおけるカルシウムダイナミクスを計測し、神経機能の可塑的変化に対する効果の解析を行う。
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