研究課題/領域番号 |
22K07952
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所 |
研究代表者 |
高木 豪 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 障害モデル研究部, 主任研究員 (70300879)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 知的障害 / モデルマウス / 環境要因 / 社会的ストレス / 多動性 / 衝動性 / 転写因子 |
研究開始時の研究の概要 |
de novoの常染色体優性変異は、重度の知的障害の原因となるケースがあり、その中にはシナプスを介した神経活動依存的な細胞内シグナル伝達に関わる遺伝子の変異が多く含まれる。外部環境の変化も神経活動依存的なプロセスに影響を及ぼすため、外部環境の状況は知的障害やその関連症状の顕在化に影響する可能性が考えられる。そこで本研究では、知的障害のモデルマウスに対する複数の外部環境ストレスの影響を検討する。これらのアプローチによって知的障害に対するより適切な対応法の基盤を構築する。
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研究実績の概要 |
HIVEP2(Schnurri-2)遺伝子の常染色体優性変異型変異は、中重度の知的障害を伴うMRD43 Mental retardation, autosomal dominant 43)の発症に関わることが10年程前に明らかになった。これまでに30近くの症例報告が蓄積している。本研究ではMRD43の発症に環境要因が影響しうるのか調べることを目的として、モデルマウスに対する社会的ストレスの影響を検討している。昨年度は離乳後の週齢のモデルマウスに対して隔離ストレスを長期間与え、MRD43の関連症状の一つである多動性の顕在化がストレスにより促進されることを明らかにした。一方、もう一つの関連症状である衝動性は、ストレスによる影響は見られず、コントロール条件の集団飼育したモデルマウスにおいても見られた。このことからMRD43の症状には、環境要因の影響を受けるものと受けないものが併存していることが分かった。今年度はマウスの発達状態によってストレスに対する感受性に変化がみられるかどうかについて検討を行った。ヤングアダルト期に到達したモデルマウスに対し昨年と同様に隔離ストレスを与えて調べたところ、離乳後にストレスを与えた時の結果と変化はなかった。この結果からMRD43に対する環境要因の影響は幼少期に限らないことが明らかになり、MRD43の療育における示唆が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではMRD43の症状発症に対する環境要因の影響をモデルマウスを用いて検討するものであるが、これまでに社会的ストレスとして隔離ストレスを用いた系で実験を行ってきた。昨年度はこの環境要因により影響を受けるMRD43の関連症状を明らかにしたが、この結果を基に本年度に行った実験によってこの環境要因の影響と体の発達段階の間にはっきりとした関連性は見られないことが分かった。この結果はMRD43の療育における示唆となり得る。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに社会ストレスとして隔離ストレスによる影響を複数の発達段階で検討してきたが、今後は異なるストレスに対する影響の検討を考えている。具体的には新生児期における社会的ストレスに相当する母性剥奪の影響について検討を行う予定である。ストレスの違いによりMRD43関連症状の発症に変化があるか調べることでMRD43への環境要因影響をより具体的に明らかにしたい。
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