研究課題/領域番号 |
22K07970
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
久松 理一 杏林大学, 医学部, 教授 (60255437)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 潰瘍性大腸炎 / クローン病 / サイトカイン / ケモカイン / 機械学習 / 分子標的治療薬 / 効果予測 |
研究開始時の研究の概要 |
炎症性腸疾患(IBD)治療において、さまざまな高額な分子標的薬が用いられている。個々の患者に最適な薬剤を治療開始前に予測することは、患者のみならず医療経済的観点からも重要な臨床課題である。これまで従来的な統計学的手法を用いて治療効果予測因子の探索が行われてきたが、臨床的に有用な指標は確立されていない。我々は、従来の臨床統計学的解析には解析対象因子の選択や統計学的有意差の意義、解釈に限界があることに着目し、新たなアプローチとして実臨床で得られる情報に機械学習を導入することで、新規治療効果予測因子の探索および高精度の治療効果予測法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
炎症性腸疾患(IBD)治療において、さまざまな分子標的薬が用いられている一方、個々の患者に最適な薬剤を治療開始前に予測することは、患者のみならず医療経済的観点からも重要な臨床課題である。これまでに我々は、実臨床情報に基づく機械学習の利用を試みてきた。その結果、各種薬剤の治療効果に有用なモデルを構築することができたが、より病態に迫る因子を検討項目として導入することにより、予測精度を高められる可能性があると推測された。IBDの原因はまだ明らかではないが、遺伝的背景、環境因子、腸管微生物叢などのさまざまな影響により免疫状態に異常が生じていると考えられることから、我々は、各患者において生じている免疫異常のパターンが、治療有効性に影響を及ぼすのではないかと考えた。さらに、我々は、従来の臨床統計学的解析には特定の解析対象因子の選択や統計学的有意差の意義、解釈に限界があることに着目した。以上より、新たなアプローチとして、多数のサイトカイン、ケモカインを対象とした免疫プロファイリングに基づく機械学習によるIBDサブ分類が可能かを検討することを着想した。我々は、活動性IBDに対して分子標的治療薬を初めて使用する69症例における投与開始直前の血液検体を用いて、これまでにIBD病態に関連が報告されているサイトカイン、ケモカイン20種類を測定した。そして、それらのプロファイリング、機械学習による分類が可能であるか、さらに、この免疫プロファイリングに基づく新規分類と治療効果との関連性の有無について検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分子標的治療薬がすでに開始されている炎症性腸疾患症例では宿主免疫機構への修飾が加わっていると考えられるため、分子標的治療薬を初めて使用するIBD症例を対象としている。現在、分子標的治療薬の残血清を用いたサイトカイン・ケモカイン測定を治療効果を評価するための観察期間を終えた症例について完了している。現在、機械学習を用いた検討について、解析継続中である。
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今後の研究の推進方策 |
機械学習を用いたパターン認識に基づくIBDサブ分類の最適化を継続して実施する。さらに、得られたIBDサブ分類と治療有効性の関連を評価する。これらの結果をふまえ、収集する臨床情報および測定する血中代謝物の選択範囲についての検討を進める。
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