研究課題/領域番号 |
22K07972
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
竹内 利寿 大阪医科薬科大学, 医学部, 非常勤講師 (30445986)
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研究分担者 |
朝日 通雄 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (10397614)
永塚 健宏 大阪医科薬科大学, 研究支援センター, 特別職務担当教員(助教) (10860083)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | NSAIDs起因性小腸粘膜傷害 / V-ATPase / 栄養飢餓 / ラパマイシン / オートファジ― / AICAR / 薬剤性小腸粘膜傷害 / オートファジー / インドメタシン |
研究開始時の研究の概要 |
カプセル内視鏡等の開発により、非ステロイド系解熱鎮痛薬(NSAIDs)が上部消化管のみならず、小腸でも頻繁に粘膜傷害を引き起こしていることが明らかとなった。酸が関与しない小腸傷害の詳細な分子機序については不明な点が多い。そこで、本研究では、細胞の生存に関与するオートファジーがNSAIDs起因性小腸粘膜傷害に対してどのように関与するのかを細胞および動物実験系を用いて検討する。
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研究実績の概要 |
カプセル内視鏡等の開発により、非ステロイド系解熱鎮痛薬(NSAIDs)が上部消化管のみならず、小腸でも頻繁に粘膜傷害を引き起こしていることが明らかとなってきた。臨床的にも問題が生じることがあるが、酸が関与しない小腸傷害の詳細な分子機序については不明な点が多く、治療法は確立されていない。ストレス応答として働くオートファジーに注目し、NSAIDs起因性小腸粘膜傷害との関わりについて細胞及び動物実験系を用いて検討することが本研究の目的である。 ラット正常小腸上皮細胞(IEC-6)を用いて、オートファジーの誘導がインドメタシン(IM)による細胞傷害に与える影響を検討した。オートファジーを誘導する方法として、①栄養飢餓、②AICAR(AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)活性化薬)、③ラパマイシンといった前処理を行った。その結果、どの前処理においても、オートファジーの亢進が確認され、IMによる細胞障害の程度を有意に軽減した。同様の前処理の効果について、IMを腹腔内投与したマウスにおいて検証した。IM投与の翌日には小腸に多発性に潰瘍が生じたが、どの前処理においても潰瘍数、潰瘍面積ともに有意に減少した。 IMによる小腸粘膜傷害のメカニズムとして、V-ATPase阻害によるオートファジ―障害が一因であることが明らかになり、栄養飢餓やラパマイシンなどによるオートファジーの活性化がそれを防御することを見出した。 以上の細胞及び動物実験の結果から、オートファジーを誘導する複数の前処理により、小腸粘膜傷害が軽減することが明らかになり、それらがIMによる小腸粘膜傷害の予防や治療に貢献する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞及び動物実験で、NSAIDs起因性小腸粘膜傷害におけるV-ATPase阻害の関与、そして栄養飢餓やラパマイシンが防御的に働く可能性を示すことができたので、おおむね順調と考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で明らかとなったIM起因性小腸粘膜傷害の作用機序と治療戦略について、学会発表、論文投稿を行う。 また、IM以外のNSAIDs起因性小腸粘膜傷害においても、IMと同様な機序で発症しているかを検討する。さらに、V-ATPase阻害によるライソゾーム障害が有害事象の原因となるような薬物が他にないか検証していく。
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