研究課題/領域番号 |
22K07975
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
野村 伊知郎 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 好酸球性消化管疾患研究室, 室長 (90392513)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 好酸球性消化管疾患 / サイトカイン / ケモカイン / トランスクリプト―ム / 消化管組織 / 疾患特異的発現分子 / 食事療法 / 好酸球性胃腸炎 / 好酸球性胃炎 / 潰瘍性大腸炎 / 食物アレルギー / 原因食物 |
研究開始時の研究の概要 |
好酸球性消化管疾患(EGID: Eosinophilic Gastrointestinal Disorders)は、消化管の慢性炎症性疾患である。本邦に約6,000名の患者が存在すると推定されている。生涯にわたる抗炎症治療が必要になることが多い。しかし近年小児期において食事療法が奏功する患者が存在することがわかってきた。食事療法は原因を特定し除去するため、根本治療といって良い。食事療法成功の最重要ポイントは、症状改善後の原因食物負荷時に炎症再燃を客観的に判定することにある。本研究計画はこの血清検査法開発を目的とする。
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研究実績の概要 |
小児好酸球性胃炎(EoG)患者8名について、64種類の血清サイトカイン、ケモカインを同時に定量した。EoG群は潰瘍性大腸炎(UC群:疾患対照)、即時型食物アレルギー(FA群:非炎症対照)と比較して35のサイトカイン/ケモカインが上昇していた。サイトカインXがEoG特異的上昇分子として最も顕著な変化を示した。しかも、治療後、検出感度以下まで低下していた。バイオマーカーとして優れていると考えられた。 胃組織のトランスクリプト―ム解析は、機能性胃腸障害(FGID)を非炎症対照群として設定し、クローン病(CD)を炎症のある対照群とした。好酸球性胃炎(EoG)活動期の患者から採取した胃粘膜組織をオミックスデータ解析によって比較した。遺伝子の発現を疾患別に比較することでより特異的な遺伝子を発見できた。EoG活動期でみられたこれらの260+254=514個の遺伝子をEoG特異的遺伝子と同定した。知られているすべてのサイトカインの発現量をみたところ、サイトカインYのみが有意に上昇していた。EoG特異的遺伝子の多くが治療後に正常化する一方で、発現変動しない遺伝子もみられた。この遺伝子の働きをみると機能Aに関するものが約半数を占めていた。この機能Aに注目して、治療前後のHE染色標本を見直したところ、新たな病理学的特徴の変化を発見することができた。 今後は、好酸球性小腸炎、好酸球性大腸炎のトランスクリプトームを決定し、かつ病態が不明ながら、好酸球性消化管疾患の類縁疾患と疑われている、食物蛋白誘発胃腸炎の慢性タイプとの類似性を検討する必要が出てきた。また、食事によってスイッチオンオフがおきるためリンパ球に絞った研究を行うべきであることが明らかとなった。このためには大型の研究計画が必要となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
小児好酸球性胃炎(EoG)患者8名について、64種類の血清サイトカイン、ケモカインを同時に定量した。EoGの年齢中央値は10.5歳であった。EoG群は潰瘍性大腸炎(UC群:疾患対照)、即時型食物アレルギー(FA群:非炎症対照)と比較して35のサイトカイン/ケモカインが上昇していた。UC群の分布はFA群と有意差はなかった。サイトカインXがEoG特異的上昇分子として最も顕著な変化を示した。しかも、治療後、検出感度以下まで低下していた。バイオマーカーとして優れていると考えられた。 胃組織のトランスクリプト―ム解析は、機能性胃腸障害(FGID)を非炎症対照群として設定し、クローン病(CD)を炎症のある対照群とした。好酸球性胃炎(EoG)活動期の患者から採取した胃粘膜組織をオミックスデータ解析によって比較した。発現量を可視化した階層クラスタリング解析ではEoG活動期と他疾患は大きく2つに分かれていた。FGIDとEoGで比較したところ発現値に有意差のみられた594の遺伝子が確認された (P<.05, >2倍)。 遺伝子の発現を疾患別に比較することでより特異的な遺伝子を発見できた。EoG活動期でみられたこれらの260+254=514個の遺伝子をEoG特異的遺伝子と同定した。知られているすべてのサイトカインの発現量をみたところ、サイトカインYのみが有意に上昇していた。EoG特異的遺伝子の多くが治療後に正常化する一方で、発現変動しない遺伝子もみられた。この遺伝子の働きをみると機能Aに関するものが約半数を占めていた。この機能Aに注目して、治療前後のHE染色標本を見直したところ、新たな病理学的特徴の変化を発見することができた。
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今後の研究の推進方策 |
血清サイトカインアレイの結果で サイトカインXが重要とわかった。胃組織トランスクリプト―ム解析では、疾患特異的発現パターンが明らかとなり、鍵となるサイトカインYが特定された。今後は、好酸球性小腸炎、好酸球性大腸炎のトランスクリプトームを決定し、かつ病態が不明ながら、好酸球性消化管疾患の類縁疾患と疑われている、食物蛋白誘発胃腸炎の慢性タイプとの類似性を検討する必要が出てきた。また、食事によってスイッチオンオフがおきるためリンパ球に絞った研究を行うべきであることが明らかとなった。このためには大型の研究計画が必要となる。
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