研究課題/領域番号 |
22K07977
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
櫻庭 裕丈 弘前大学, 医学研究科, 教授 (90422063)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 酪酸 / マイクロカプセル / 腸管バリヤ機能 / トファシチニブ / 腸上皮細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
なぜ腸内酪酸濃度の低下が内科治療への反応を低下させるのかは不明である。酪酸は腸管上皮細胞へ吸収されTGF-βを介する粘膜障害抑制効果を持つ。免疫調節薬や分子標的治療が、腸上皮細胞のMCT1発現調節と酪酸吸収調節効果を持つという仮説をもとに研究を立案。腸管内の酪酸濃度を効果的に高めることができれば、免疫調節薬や分子標的治療の治療成績向上につながる。酪酸の刺激臭や拡散を抑制し、効率的に炎症部腸管内へ届ける方法は確率されていない。本研究は、IBD分子標的治療による腸上皮細胞酪酸トランスポーターMCT1発現調節効果と腸管内酪酸デリバリーによる炎症抑制との相乗効果を立証する研究である。
|
研究実績の概要 |
前年度に確認した、酪酸含有マイクロカプセルのマウスへ経口投与、抗菌薬カクテル(バンコマイシン 500 mg/L, ネオマイシン 1 g/L, アンピシリン 1 g/L, メトロニダゾール 1 g/L)のゾンデ法を用いた3日間投与による酪酸枯渇、経口トファシチニブ投与モデルを用いてトファシチニブの腸管バリヤ機能調節効果と酪酸含有カプセル併用による調節効果増強の有無を検証した。7-8週齢のC57BL/6マウスにリコンビナントIL―13(マウスあたり2μg/0.1ml)を腹腔内投与することでバリヤ機能低下モデルを作成した。マウスの生体におけるバリヤ機能評価は、特殊飼育ケージを用いた糞便含有水分量とFITCデキストラン経口投与後の血中FITCデキストラン濃度測定で行った。コントロールに比べてリコンビナントIL―13投与により、糞便含有水分量の増加とFITCデキストラン経口投与後の血中FITCデキストラン濃度増加を認めた。トファシチニブ投与により、リコンビナントIL-13投与による糞便含有水分量の増加及びFITCデキストラン経口投与後の血中FITCデキストラン濃度増加のどちらも抑制された。抗菌薬カクテル投与マウスでは、リコンビナントIL-13投与による糞便含有水分量増加及びFITCデキストラン経口投与後の血中FITCデキストラン濃度増加のどちらも抗菌薬非投与マウスと比較してより高度であった。抗菌薬カクテル投与マウスに対するトファシチニブ投与によるバリヤ機能調節効果は限定的であったが、酪酸含有マイクロカプセル投与下では、トファシチニブ投与により、IL-13投与後の糞便含有水分量の増加及びFITCデキストラン経口投与後の血中FITCデキストラン濃度増加は抑制された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生体腸管バリヤ機能評価方法の安定化を図ることに時間を要した。特殊飼育ケージによる糞便採取のタイミングや時間の設定と水分含有量測定方法が安定化したことにより意義のある研究結果を得ることができた。また、リコンビナントIL-13の腹腔内投与量の設定、トファシチニブ投与方法で用いた器質の選択に工夫を必要としたため計画より進行が遅れた。
|
今後の研究の推進方策 |
トファシチニブによるIL-13誘導性のバリヤ機能低下の抑制効果を生体モデルで明らかにできた。また、酪酸含有カプセル併用によりその効果が増強されることが明らかとなった。今後は、バリヤ機能調節効果の詳細を解析する。Zo1、claudin1、 2、 4を代表とするタイトジャンクション蛋白の発現量と発現分布を摘出腸管で解析する。さらに、Caco2細胞を用いたin vitroの系を作成し、IL-13によるバリヤ機能低下モデルに対するトファシチニブ及び酪酸の併用効果を膜抵抗測定、FD-4通過効果で解析する予定である。
|