研究課題/領域番号 |
22K07979
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
松田 康伸 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40334669)
|
研究分担者 |
小林 隆 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40464010)
坂田 純 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70447605)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 胆管がん / エクソソーム / ゲムシタビン |
研究開始時の研究の概要 |
近年、がん患者に対する化学/放射線治療の休薬期間内に、残存腫瘍が急速に再増殖する現象(腫瘍再増殖; tumor repopulation; TR)が少なからず報告されて注目されている。 申請者らは最近、ゲムシタビン処理後の胆管がんが、活性化したストレスキナーゼp38MAPKを豊富に含むエクソソームを分泌して、TRを促進することをみいだした。 そこで本研究では、i) 胆管がんエクソソーム内部のp38MAPK活性化機構を明らかにして、ii) がんエクソソーム蛋白を網羅的解析してp38MAPK以外のTR促進因子を探索する予定である。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、胆管がんにおける化学療法後の腫瘍再増殖(TR)現象を、エクソソーム制御により予防する方法を確立することである。本研究では、この目的をさぐるために、i) 予備検討で明らかになった、胆管がんエクソソームの化学療法後のセリン・スレオニンキナーゼp38MAPK活性化機構を検討するとともに、ii) 化学療法休薬中のがんエクソソーム蛋白を網羅的解析して、p38MAPKの以外のTR促進因子の探索も行うことを計画した。 本年度においては、上記の実験計画i)を主に行った。具体的には、胆道がん細胞(胆管がんHuCCT1、胆のうがんNOZ)に抗がん剤(ゲムシタビン、シスプラチン)を投与し、エクソソーム量・活性(増殖/転移促進)を解析するとともに、エクソソーム内部のp38MAPKのリン酸化レベルをウエスタン・ブロット法を用いて解析した。 その結果、胆管がんのエクソソーム分泌量は抗がん剤刺激で1.7-3倍程度に増加していたが、エクソソーム内部のp38MAPK含有量は、有意な変化を認めなかった。一方、p38MAPKのリン酸化レベルは10数倍に増加しており、化学療法で刺激されたがん細胞のエクソソーム内部では、p38MAPK経路が著明に活性かしていることが明らかになった。次に、エクソソーム内部のp38MAPKシグナル経路をさらに詳細に調べたところ、がん抑制遺伝子p53変異を伴うHuCCT1細胞においては、p38MAPKの下流シグナル因子であるMAPKAP-2も同様に10-15倍レベルに活性化していることが明らかになった。以上の結果をもとに、次年時以降はp53-p38MAPK-TR現象の関連をさらに探索するとともに、上述の実験計画ii)も併せて行う予定である。 なお、以上の実験は、既存の試薬・機器・消耗品を用いて行えたので、当該年度での支出を可能な限り抑えることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度では、実験計画i)胆管がんエクソソームの化学療法後のセリン・スレオニンキナーゼp38MAPK活性化機構の検討を、順調に行うことができた。 検討した結果により、胆管がんエクソソーム内部のp38MAPKのリン酸化レベルが著明に増加していることを見いだし、さらには、がん抑制遺伝子p53変異を伴う場合では、p38MAPKの下流シグナル因子であるMAPKAP-2も同様に活性化していることを明らかにできた。得られた結果は、予備検討である程度予測されていたものであり、また実験計画に沿うものである。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度の実験結果から、エクソソームのp38MAPK活性化が、胆管がんの薬剤耐性に深く関与していることが明らかになった。そこで次年度以降は、今度はどうすれば薬剤耐性を克服できるかという目標を掲げ、p38MAPKを制御できるエクソソーム拮抗剤を見いだす計画をたてている。 i) 最初に、p38MAPK阻害剤のTR現象に対する効果を確認する目的で、胆管がん細胞株HuCCT1や胆のうがんNOZに対して数種類のp38MAPK阻害薬と抗がん剤(ゲムシタビンetc.)による併用療法を行い、殺細胞効果と化学療法後に生き残ったがん細胞の再増殖スピードを計測する。 ii) 次に、p38MAPK拮抗作用をもつ既知の医薬品を用いて、胆管がんの薬剤耐性への軽減効果を検討する。 iii) 上記i)ii)実験と並行して、当初の実験計画の2番目の柱である、化学療法休薬中のがんエクソソーム蛋白の網羅的解析を行い、p38MAPKの以外のTR促進因子の探索も行う予定である。
|