研究課題/領域番号 |
22K08000
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
夏井坂 光輝 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (80642446)
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研究分担者 |
須田 剛生 北海道大学, 医学研究院, 講師 (20447460)
前原 経 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (80836338)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 癌幹細胞 / 食道扁平上皮癌 / 免疫チェックポイント阻害剤 |
研究開始時の研究の概要 |
食道扁平上皮癌CD24low/CD44high癌幹細胞においてPD-L1、PD-L2の発現が有意に上昇しており(unpublished data)、非癌幹細胞に比して癌幹細胞において免疫チェックポイント阻害剤の効果が異なることが示唆されている。本研究はESCC癌幹細胞における免疫チェックポイント阻害剤の効果を3次元培養、オーガノイド、マウス発癌モデルを用いて詳細に検証する。さらに、免疫チェックポイント阻害剤とFGFR/Erk経路阻害剤の併用療法の可能性をマウス発癌モデルを用いて検証する。本研究によりESCC癌幹細胞を標的とした新たな治療戦略の構築が期待される。
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研究実績の概要 |
本邦においても食道扁平上皮癌(ESCC)に対して免疫チェックポイント阻害剤が臨床の現場で使用可能となった。我々はこれまでの豊富なESCCに関する実験データ(DNAマイクロアレイ)、ESCC癌幹細胞のサンプルを用いて解析を行ったところ、CD24low/CD44high癌幹細胞においてPD-L1、PD-L2の発現が有意に増加していることを確認した。さらに、FGFR/Erk経路阻害剤(trametinib)により一部のCD24low/CD44high癌幹細胞は減少し、殺細胞性の抗癌剤に対する治療抵抗性は回復するが、残存したCD24low/CD44high癌幹細胞ではPD-L1、PD-L2の発現が有意に増加していた。FGFR/Erk経路阻害剤であるtrametinibと抗PD-1抗体の併用療法がESCC癌幹細胞を標的とした有効な新規治療法となり得る可能性が期待される。 本研究はESCC癌幹細胞におけるPD-L1、PD-L2の発現調節機構の解明、免疫チェックポイント阻害剤の効果を3次元培養、オーガノイド、マウス発癌モデルを用いて詳細に検証することを目的に遂行される。さらに、免疫チェックポイント阻害剤とFGFR/Erk経路阻害剤の併用療法の可能性をマウス発癌モデルにより検証する 令和5年度は以下の新たな知見が得られた。ESCC細胞株をTGF-β1、FGF2で処理すると再現性を持ってPD-L1、PD-L2の発現が有意に増加した。同実験系を用いてRNAシーケンスによる網羅的解析を行い、TCGAデータ及びChipシーケンスデータとの複合解析を行った。転写因子SRGN、SHISAL1、ETS1、FOSL1、HEY1がESCC癌幹細胞におけるPD-L1発現調節において重要な役割を担っている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験(食道扁平上皮癌発癌マウスモデル)において予想された腫瘍が得られなかったため、やや遅れていると判断した。 本研究の現在までの進捗により、ESCCのCD24low/CD44high癌幹細胞においてPD-L1の発現が有意に増加していることは複数の細胞株、実験系において再現性を持って確認されている。更にESCCのCD24low/CD44high癌幹細胞におけるPD-L1の発現調節において重要な役割を担う可能性のある転写因子の候補が複数個同定された。本研究によりESCC癌幹細胞を標的とした新規治療法の開発が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
CD24low/CD44high癌幹細胞のPD-L1発現調節における転写因子SRGN、SHISAL1、ETS1、FOSL1、HEY1の機能解析を進める。各転写因子の発現抑制系を作成し、PD-L1の発現量を解析する。逆にCD24high/CD44lowのESCC癌細胞において過剰発現系を作成し、PD-L1の発現量を解析する。 動物実験(食道癌発癌モデル)で当初予想されていた腫瘍が認められなかったため、実験条件を変更する。C57BL/6マウスの週齢数を4週齢にし、4-nitroquinoline 1-oxide (4NQO) 100mg/L、2%プロピレングリコール飲用水の投与期間を20週間に延長する。その後、通常の飲用水に戻し、8週後に屠殺する。形成された食道腫瘍を摘出し、免疫染色(PD-L1、PD-L2、CD44、CD24、扁平分化マーカー、EMTマーカー、免疫細胞マーカー)を行う。 動物実験全体の進捗状況が遅れているため治療実験は、①コントロール、②trametinib、③マウス抗PD-1抗体 、④マウス抗PD-1抗体 + trametinibの4アームに減らして行う。
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