研究課題/領域番号 |
22K08003
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
後藤 裕樹 山形大学, 医学部, 医員 (50912119)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ESCC / トランスクリプトーム解析 / GSTM1 / 粘膜上皮内癌 / 基底層領域 / 細胞老化 / SASP / 食道扁平上皮癌 / トランスクリプトーム / 表在型食道扁平上皮癌 / CDKN2A / エストロゲン / 非飲酒、非喫煙女性 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは最近、表在型ESCCのゲノム解析から低リスクの女性ESCC患者の非癌部上皮でCDKN2A遺伝子バリアント頻度が高いことを報告した。本研究では、低リスクの女性の表在型ESCCに焦点をあて、CDKN2A遺伝子を軸としたゲノム変化、エストロゲンや細胞老化との関連性を明らかにし、これらの機序を制御することが治療標的となりうるかを検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では食道扁平上皮癌(ESCC)の重要なリスク因子である飲酒歴や喫煙歴のない、低リスクの女性に生じる表在型ESCCに焦点をあて、CDKN2A遺伝子を軸とした遺伝子変化や、エストロゲンや細胞老化との関連性を明らかにし、この機序の制御が新しい治療標的となりえるかを明らかにすることを目的としている。2023年度は、内視鏡的食道粘膜下層剥離術にて切除したESCCのFFPE組織を用いて網羅的なトランスクリプトーム解析を行った。発癌初期の遺伝子発現変化をとらえるために粘膜上皮内ESCCを対象とし、またESCCの発生母地と考えられる基底層領域に着目した。粘膜上皮内ESCC組織を基底層領域とその上層に顕微鏡下で正確に切り分け、それぞれの組織からRNAを抽出し、RNAシークエンス解析を行った。得られた遺伝子発現データを、背景のリスク因子(飲酒や喫煙、性差)に分けて比較し、非癌部や癌部の基底層領域での細胞老化やその関連因子をはじめとした特徴的なmRNA発現変化の同定を行った。非癌部基底層領域、癌部基底層領域の発現を非飲酒喫煙女性、飲酒喫煙女性、飲酒喫煙男性の3群でそれぞれ比較すると、非飲酒非喫煙女性ではSPRR3、KRT4、CSTAの発現が癌部で低下したが、これらは飲酒喫煙のある男女の癌部でも発現が低下しており、非飲酒非喫煙の女性に特有にみられる発現変化でなかった。非癌部基底層領域で非飲酒喫煙女性、飲酒喫煙女性、飲酒喫煙男性の3群で発現を比較すると、GSTM1の発現に差を認めた。GSTM1の発現は非飲酒非喫煙女性と正常群でみられたが、飲酒喫煙の男女の群では発現がみられなかった。CDKN2Aの発現の比較や、細胞老化やエストロゲンの発現についてはFFPE検体を用いた今回の研究では十分な検討ができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非飲酒非喫煙女性は症例数が少なく、既存の検体のFFPE組織を用いてRNAシークエンスを行った。FFPE検体からのRNAシークエンスは検体の質に十分に留意する必要があり、検体の品質管理やRNA抽出方法の調整に時間を要したが、おおむね計画通りに行った。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度はGSTM1とCDKN2Aが非飲酒非喫煙のESCC群の発癌に及ぼす影響を検討するため、正常食道扁平上皮株を用いた実験を予定している。
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