研究課題/領域番号 |
22K08017
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
佐藤 隆司 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (90407114)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 慢性肝疾患 / 血小板減少 / 自己抗体 / 自己免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性肝疾患に伴う血小板減少の原因の一つに抗血小板抗体による自己免疫機序が考えられている。しかし、血小板やトロンボポエチン (TPO) およびその受容体に対する自己抗体の関与の程度やそれら自己抗体の病因的意義、自己抗体の産生機序の詳細は明らかになっていない。 本研究では、慢性肝疾患に伴う血小板減少の病態形成機序を自己免疫の観点から明らかにする。それらを解析することは、慢性肝疾患に伴う血小板減少に対する治療選択や新規治療法への応用に貢献できると考えられる。
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研究実績の概要 |
慢性肝疾患における血小板減少の病因を解明するために、抗血小板抗体を含めた自己抗体が血小板減少に与える影響について検討した。今年度は、二次元免疫ブロット法により血小板減少を伴う慢性肝疾患患者で産生される自己抗体の網羅的な検索を行なった。また、アルコール性肝炎の患者に注目して、抗GPIIb/IIIa抗体産生B細胞数の測定およびB細胞を活性化するサイトカインであるBAFFの血漿濃度の測定を行なった。 二次元免疫ブロット法を用いて、血小板減少を伴う慢性肝疾患患者で産生される自己抗体の網羅的な検索を行なった結果、149個の抗原タンパク質が見出された。そのうち、Lamin-B1、Leucine-rich PPR motif-containing protein、T-complex protein 1 subunit theta、ATPase GET3、Prohibitinは、信号強度の比較等より血小板減少に伴う慢性肝疾患に関連する自己抗体が認識する抗原タンパク質である可能性が考えられた。 ELISPOT法を用いて、アルコール性肝炎患者の抗GPIIb/IIIa抗体産生B細胞数を測定した結果、血小板減少を伴う患者では抗体産生B細胞が有意に多いことが明らかとなった (p=0.006)。一方、ELISAを用いて同様の検体のB細胞活性化因子 (BAFF) の血漿濃度を測定したところ、血小板減少の有無の比較では有意な差は見られなかった (P=0.18)。以上より、抗GPIIb/IIIa抗体産生B細胞数の測定はアルコール性肝炎に伴う自己免疫が関与する血小板減少の検査法として有用であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の解析で、重度の血小板減少を伴う肝硬変患者において、抗GPIIb/IIIa抗体産生B細胞数が多く、血漿BAFF濃度が高値であることが示された。 それらの結果をもとに令和5年度ではアルコール性肝炎患者を対象に解析を進めた。血小板減少を伴うアルコール性肝炎患者では血小板正常のアルコール性肝炎患者と比べ、抗GPIIb/IIIa抗体産生B細胞数が有意に高値であることを明らかにした。ただし、血漿BAFF濃度は血小板減少の有無による違いで、差は認められなかったため、他の要因が血小板減少や抗血小板抗体産生に関与している可能性が考えられた。 また血小板減少と関連する新規自己抗体を検索を実施し、可能性がある抗原タンパク質を同定した。 上記の理由から、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
血小板減少を伴うアルコール性肝炎患者では、抗GPIIb/IIIa抗体産生B細胞数が多く認められた。 今後は治療前後での抗GPIIb/IIIa抗体産生B細胞数の変化、その他の血小板減少と関連する自己抗体の変化を検討する予定である。 また、血小板減少と関連する新規自己抗体の検索で、可能性がある抗原タンパク質が同定されたため、それらをELISA、ウエスタンブロット法等で検索を試みる。
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