研究課題/領域番号 |
22K08020
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
福井 寿朗 関西医科大学, 医学部, 准教授 (60402905)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Smad蛋白 / 炎症生発癌 / 大腸癌 / 腫瘍幹細胞 / 進展メカニズム / 組織幹細胞 / マウスモデル / 消化管癌 / 発癌 / 進展機構 / 臨床応用 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性炎症の持続は腫瘍合併リスクを高め、多段階の発癌経路が想定されている。研究代表者はpSmad2/3L-Thr(以下Smad)が分裂周期に入るslow-cyclingな(組織・腫瘍)幹細胞マーカーであると、マウスの食道・胃・小腸・大腸、大腸癌マウスやヒト食道癌・大腸癌にて実証した。本研究は胃癌・腸炎関連大腸癌・食道癌検体を用い、病変進展度に伴うSmad発現やSmad周辺シグナル関連遺伝子を解析し、Smad陽性細胞の腫瘍幹細胞としての整合性を確認、同時に炎症性発癌機構の解明・病変進展度との相関・術前病期診断への寄与を目的とする。同様の手法で他臓器幹細胞を明示し炎症性発癌の共通機構を見出したい。
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研究実績の概要 |
・これまで我々が解析、研究してきた腸炎関連大腸癌モデルのAOM/DSSマウスモデルを応用し、腫瘍発生極初期の病態を解析した。 ・5週齢ICRマウスにAOMを腹腔内投与し、投与1週後からDSSを7日間飲水させた。実験開始4~6週後の腫瘍マウスモデルにて、早期の微小病変形成を発見、観察、解析した。 ・300μm以下の微小腫瘍病変の詳細な検討により、腫瘍発生部位は正常腺管の上方から(top-down)ではなく、大腸粘膜固有層の炎症、線維化が強い場合の正常上皮腺管再生部位でもある、粘膜固有層上方に正常腺管とは別に、新たに腫瘍腺管が出現しており、腺管再生部の腫瘍化した正常組織幹細胞が腫瘍発生の原因であり、その後腫瘍腺管が上下へ伸び、分枝し増大するのではないかと推測された。炎症部位に腫瘍化が始まるという理論に合致した所見と考えられた。 ・微小腫瘍病変はKi67、βカテニン、cyclinD1、Sox9陽性の腫瘍性病変であることを確認した。微小病変にもKi67陰性、CDK4陽性、Bmi1陽性のpSmad2/3L-Thr強陽性細胞を確認できた。この細胞はβカテニン陽性の腫瘍細胞であり、AOM/DSSマウスおける実験開始10~20週の完成された腫瘍病変内に認められ、腫瘍幹細胞と考えられたpSmad2/3L-Thr強陽性細胞と同様の細胞と考えられた。 ・さらに詳細な検討により、1~3腺管からなる極初期の腫瘍発生期と考えられる腫瘍性病変も発見され、上述の微小腫瘍性病変と同じ性質を持っていた。これらの病変がAOM/DSS大腸癌モデルマウスの初期発生病変であると判断した。特に1腺管腫瘍については複数の病変を連続切片による観察により標本の端から端まで綿密に観察し、腫瘍発生は粘膜固有層内上方に正常腺管と独立して腫瘍幹細胞が発生し、上下に進展、分枝することにより粘膜表面や隣接正常腺管に達して拡大すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の交付申請書に記載した研究とともに、並行して進める予定であった腸炎関連大腸癌マウスモデルの解析において、新たな非常に興味深い所見が発見されたため、その病変の解析に時間を要し、予定していた臨床検体を用いた解析を進めることができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
・AOM/DSS腸炎関連大腸癌モデルマウスの初期病変のさらなる解析により、病態発生機構を解明することができた。 ・今年度は当初の研究予定であった、臨床検体を用いた解析を急ぎ進めていこうと考えている。
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